〈あらすじ〉
シチリアの小さな村に暮らす13歳のルナ(ユリア・イェドリコヴスカ)は、同級生のジュゼッペ(ガエターノ・フェルナンデス)にラブレターを渡し、二人は初めての口づけを交わす。その直後、ジュゼッペは行方不明となるが、彼の家族は沈黙を貫いたままだった。数カ月後、ジュゼッペがマフィアに誘拐されたことが明らかになる。長期化する監禁生活に、心身ともに疲弊していくジュゼッペにとって、唯一の拠り所となったのは、ルナから受け取った手紙だった。ジュゼッペを探し続けるルナは、暗い湖を通り抜けた先の世界で、ジュゼッペと再会を果たす。
〈解説〉
1993年にシチリアで実際に起きた誘拐事件をもとにした、少年少女の幻想的なラブストーリー。脚本と監督は『狼は暗闇の天使』で知られる、同地出身のファビオ・グラッサドニアとアントニオ・ピアッツァ。123分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★☆☆実話をもとにしたというが途中から幻想的方向へ。風土感とあいまって「神かくし」的感触あり、実話のままのほうが。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★☆☆むごたらしい話を少しでも鎮魂したかったのだろうが、超自然的な描写になると画面が重くなる。嫋々とした音楽も疑問。
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斎藤綾子(作家)
★★★★☆誰もが口をつぐむ悪。身の毛もよだつ実話に震え上がった。実在しない少女の怒りと悲しみに共感しつつ己を振り返る。
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森直人(映画評論家)
★★★☆☆凄惨な事件と小さな恋の悲愴美。だが話の強さほど狂おしく届かない。詩情の醸成と勿体ぶった語りの混同があるのでは。
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洞口依子(女優)
★★★★☆懐かしい初恋のプリズム。夢に向けられた眼差し。シチリアの風土を詩情豊かに活写。残酷な実話から昇華される願い。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
INFORMATION
「シシリアン・ゴースト・ストーリー」(伊、仏、スイス)
12月22日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
監督:ファビオ・グラッサドニア、アントニオ・ピアッツァ
出演:ユリア・イェドリコヴスカ、ガエターノ・フェルナンデス、ヴィンチェンツォ・アマート、サビーネ・ティモテオ ほか
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