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なんでロボット? 謎が謎を呼んだロッテ球団“新年の挨拶”の秘密

文春野球コラム ウィンターリーグ2019

2019/01/19
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 新春早々に度肝を抜かれた。スマホをなんとなく眺めていて飛び込んできたのはプロ野球 千葉ロッテマリーンズのTwitterだった。年が明けたばかりの新年にいきなり、なんだ? ロボットの目と思われるグラフィックがアップされていたのだ。

千葉ロッテマリーンズのTwitterに新年にいきなりアップされた画像

「HAPPY NEW YEAR 2019」。ただ、それだけ。なんの説明もなければ、その後の展開もない。もしかしたら、ファンはこの流れに慣れているのだろうか? 「ああ、またかあ」という感じで、この事象をいとも簡単にスルーしている。

 久しくプロ野球を見ていなかったが、最近のプロ野球はこういう意表を突く展開が流行りなのだろうか。試しに同じく元旦のその他の球団のSNSをチェックすると、想像通りの展開で安心した。選手がガッツポーズをしている写真や、本拠地球場の写真で「明けましておめでとうございます」とのコメントや2019年のチームスローガンが添えられている。

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 その後も気になって千葉ロッテマリーンズのSNSをチェックしたが、もう終わった事のように一切続報は入ってこない。だから毎日、チェックをしてしまう。もしかしたら、気になってしまう人間心理を利用した戦術なのかとも思ってしまうが、とにかく今のところ1月1日の日付が変った瞬間にアップされた画像以降、進展がない(正確には1月1日の30分後の0時30分にもロボットの目の画像の少し遠めのものもアップされた)。

2016年交流戦に現れた「非交流戦士マジワラン」

 こうなったら、独自で仮説を立てていくしかない。ファンのコメントを調べていく中で出てきたのは「非交流戦士マジワラン」というキーワードだ。これは千葉ロッテマリーンズが2016年のセ・パ交流戦(プロ野球の交流戦が何であるかという説明はここでは割愛させてもらう)でPRの一環として投入した日程ポスターのキャラクター。千葉ロッテマリーンズのロボットがセ・リーグ6球団のロボットを次から次へと倒していくCG動画を作成するなど話題となった。正月にアップされた目の形の画像から見ると、なるほどマジワランだ。ほぼ、この機体で間違いないと思われる。

 ちなみに調べてみると千葉ロッテマリーンズがマジワランに関してマスコミ向けに最後に出したリリースは2016年6月18日だった。リリースの文面は次の通り。

「非交流戦士マジワランが空を飛べることが判明しましたのでお知らせします。飛ぶときには背中にバックパックを背負います。バックパックを装着すると20分間の飛行が可能となります(ただし宇宙空間での飛行に関してはテストを行っていないため、不明)。バックパックに関しましては、燃料電池を採用していますので、飛行させるとかなりのコストがかかり、基本的には使用しません。なお2016年交流戦では現状、使用をしていません」

 この文面だけを見てプロ野球の広報が製作したリリースだと思う人はいないだろう。こうなるとその他にどのようなリリースを出したかが気になってしまう。さらにさかのぼる。見つけた。2016年6月8日。リリースの文面は下記の通り。

「2016年交流戦挑発ポスターのメインビジュアルとして話題の非交流戦士マジワランの新たな情報が明らかになりましたのでお知らせします。駆動時間:7分。設計:MZ010型コンピュータ。ロボットの頭部に『MAR-KUN』と記されている。武器は現状、積まれていない(バットは飾り。とても柔らかく軽い素材で出来ていて、芝に置いても問題ありません)。ランニングコストには充分配慮されており、球場の地下空間に海水を導き、そこから動力を得ている(海流発電型蓄電池M1式ハイパーキャパシタ)。所属:千葉ロッテマリーンズ、身長:98メートル、体重:2120t、出力:540000kw、装甲:セラミックマトリックス複合装甲、動力源:海流発電型蓄電池M1式ハイパーキャパシタ」

非交流戦士マジワラン

 野球とはかけ離れた架空のロボットのリリースが出るわ、出るわ。1月1日にたまたま見てしまったツイートから、気付けば、奥深くまで調べてしまった自分がいる。きっと千葉ロッテマリーンズの狙いはこれなのだろう。

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