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視聴率競争の行方 “絶対王者“日テレに死角があるとすれば……

2019年の論点100

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 いま、民放で日本テレビ(日テレ)が絶対的な強さを誇っている。2014年から17年、4年連続年間視聴率3冠王に君臨。3冠とは、全日帯(6時〜深夜24時)、ゴールデン帯(19〜22時)、プライム帯(19〜23時)を指している。17年、日テレは全日8.2%(2位はテレビ朝日[テレ朝]で7.4%)、プライム12.0%(同じくテレ朝が10.0%)、ゴールデン12.4%(TBSが9.9%)と2位以下に大差をつけており、この強さで18年も連覇する可能性が高い。「テレビ離れ」が叫ばれている現在、各局が視聴率を落としていく中で、日テレがギリギリで視聴率を維持している結果だろう。

かつて視聴率争いは日テレとフジのシーソーゲームだった

 年間視聴率覇者の歴史は日テレとフジテレビ(フジ)のシーソーゲームだった。1982〜93年まで12年間、3冠王に君臨したのがフジ。「楽しくなければテレビじゃない」と掲げ「軽チャー」路線のバラエティ番組を軸にテレビ界を席巻した。94年、「知的エンターテインメント」路線で成功した日テレが大逆転勝利を収めると以後10年間、03年まで日テレが3冠王となる。

 そして04〜10年、フジが再び3冠王を奪還するも11年、番組編成が「韓流への偏重」であると批判するフジへの抗議デモや東日本大震災を経て世間のムードが変わったことが影響したのか、急激に視聴率を落としていく。その結果、日テレが3冠を奪取した。

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 一方、12年にはテレ朝が躍進。プライム帯で1位に(日テレは2冠)。テレ朝は翌13年には、プライム、ゴールデンの2冠(全日は日テレ)に輝いた。そして、14年からは再び日テレの天下が続いている。

 このように栄枯盛衰あるテレビ界で、なぜ日テレは、安定した強さを維持しているのだろうか。

 その強さの原点はフジを逆転した94年にあるだろう。日テレは、当時絶対的な強さを誇ったフジの番組を、実際に2週間分録画。番組内容を徹底的に比較するなど、泥臭く研究した。その上で、フジの真似をするのではなく、フジがやっていないことを次々とやっていく。