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母親だって、堂々と「未成熟」な自分を出していい。

漫画家・ヤマザキマリインタビュー #2

2019/02/15

 本当の「母親らしさ」とは何だろう。等身大の自分を隠さず、子供と同じ地球の上で暮らす“同志”になることが、私がリョウコから無意識に受け継いだ子育てだった――。破天荒な母・リョウコの波瀾万丈な人生を通して、娘ヤマザキマリが感じたこと、学んだこととは何か。『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリさんが新刊『ヴィオラ母さん 私を育てた破天荒な母・リョウコ』について語る。(全2回の2回目/#1より続く)

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断トツに多い子育ての悩みへの答え

 私は人生相談の連載をしているのだが、読者の方から届く悩みの7~8割が人間関係についてのことで、その中でも子育ての悩みが断トツに多い。

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「周りと比べて、自分がこんな風にダメで悩んでいます」

「うちの子が言うことを聞いてくれません。どうしたらいいですか?」

 こういう悩みには、「人って、他人も自分も含めて、基本的に思うようにならないものなんですよね」といつも答えている。

娘を補導した警察官を唖然とさせた母・リョウコ

 新刊『ヴィオラ母さん 私を育てた破天荒な母・リョウコ』にも書いたが、リョウコには、「いい子でいなさい」「こういう風になって欲しい」というような子供に対しての理想像や期待感がそもそもなかった。それがどれだけ我々姉妹の気を楽にしてくれていたかは計り知れない。例えば高校の時、音楽好きの私がディスコに音楽を聴きに出かけて補導された時でさえ、警察署に迎えにきたリョウコは、私がやらかしたことを面白がり、「好きな音楽を聴きに行っただけでしょうから、うちでは問題ないです」と言ってのけ、警察官を唖然とさせていた。留学先から未婚で子供を日本に連れ帰った際にもリョウコは「仕方ないね!! 孫の代まではアタシの責任だ!!」と言ってのけたが、どんな時にも絶対的に自分の味方でいてくれると、母からの愛情を感じたセリフである。

©鈴木七絵/文藝春秋