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東京湾アクアライン 裏側探検ツアーに潜入してみた

高速道路最前線

東京湾を横断し川崎と木更津をつなぐ「東京湾アクアライン」。その特殊な防災システムを見学するツアーが、海に浮かぶ休憩施設「海ほたるパーキングエリア」で開催されている。


東京湾を海底トンネルと橋梁で横断する「東京湾アクアライン」。「海の中でどうやってトンネルや橋を建設したのか」「海底トンネルで交通事故や火災が発生したらどこへ逃げられるのか」などの疑問を抱きながら走行しているドライバーは多いのではないだろうか。それらの疑問を一気に解消できるのが、今年1月から「海ほたるパーキングエリア」で開催されている「海底トンネルに潜入! 東京湾アクアライン裏側探検」だ。

川崎側の海底トンネルと木更津側の橋梁をつなぐ人工島に建てられた「海ほたるパーキングエリア」。
川崎側の海底トンネルと木更津側の橋梁をつなぐ人工島に建てられた「海ほたるパーキングエリア」。

東京湾アクアラインの裏側へ潜入 目指すは高速道路の真下!

 これまでにもイベント時に同様のツアーが限定実施されてきたが、非常に好評だったため、年間を通して毎週開催(個人の方火・水曜日、団体の方木・金曜日)されることになったという。取材に訪れたこの日も20人の定員はほぼいっぱい。カメラやスマートフォンを手にした人々は、ふだん立ち入ることのできない場所に足を踏み入れるとあって皆、高揚感にあふれているようだ。

「東京湾アクアライン裏側探検」の入り口。フェンスをくぐり抜け、普段は立ち入れないアクアラインの裏側へ、いざ潜入!
「東京湾アクアライン裏側探検」の入り口。フェンスをくぐり抜け、普段は立ち入れないアクアラインの裏側へ、いざ潜入!

 約10年に及ぶ建設工事により1997年12月に完成した「東京湾アクアライン」は、川崎側から約9.5キロメートルの海底トンネル、木更津側から約4.4キロメートルの橋梁、さらにトンネル中央部に位置する換気施設を備えた「風の塔」、トンネルと橋梁の接合部にある「海ほたるパーキングエリア」から構成されている。国内では例のない巨大な海上建造物だけに、そこには様々な建設の工夫がある。ツアーのスタートはまずはこの解説から。直径14.1メートルのシールドマシン8機で掘進して造った海底トンネル工事など、当時世界で最も困難だと言われた海洋土木工事の様子を映像で追体験。着工から完成までの工程を知ることのできる貴重な時間となった。

海底トンネルならではの安心・安全のための空間

 次は、いよいよ海底トンネルの中への潜入だ。専属ガイドを務めるアクアラインの案内人の上野由紀さんの引率で海抜ゼロメートルのトンネル入り口から、緩やかな下り坂を徒歩で下っていく。目指す緊急避難通路は、トンネル壁に備えられた4枚の扉を通り抜けた先。扉を開けて中へ入るたびに強い風を感じる。

「気圧差から生じている風です。万一、本線で火災が起きたときにトンネル内の煙が避難通路にあふれてこないよう、中の気圧を高く設定管理しているために発生するものなんです」

 避難通路にたどり着くと、車の走る音が聞こえているのに気づいた。

「ここは海面から18メートル下、本線の真下にあたる場所になります。前方奥に見える滑り台が、本線から繋がっている避難連絡路です」

非常電話の扉の中も見せてもらえる。「受話器を取るだけで、自動的に道路管制センターにつながります」
非常電話の扉の中も見せてもらえる。「受話器を取るだけで、自動的に道路管制センターにつながります」

 本線で事故や火災が発生した場合、非常口から繋がるこの滑り台を降りると、この通路に出る仕組みになっているという。

「滑り台になっているのは、小さなお子さんからお年寄りまで、どんな方でも安全に避難できるためです」

 逆に避難通路側から本線へ救命・消火活動に入るための上りの消防用進入口も整備されていた。さらに、トンネル内で発生した事故や火災を早期に感知するための設備や迅速な救助・消火活動のための仕組みの説明を受けた後、120段の非常用階段を上り地上へと戻った。屋外へ出た途端、太陽の眩しさが目にしみた。万一の時には、この明るさにどれだけ安堵するだろうと想像してしまった。

緊急避難通路でアクアライン案内人上野さんの解説に耳を傾ける参加者たち。左手奥に見えるのが滑り台状の避難連絡路。
緊急避難通路でアクアライン案内人上野さんの解説に耳を傾ける参加者たち。左手奥に見えるのが滑り台状の避難連絡路。
通路の壁に走る2色のパイプには、緊急時にこの通路を通って駆けつける専用消防車が使用するための水と泡の消火剤がそれぞれ流れている。
通路の壁に走る2色のパイプには、緊急時にこの通路を通って駆けつける専用消防車が使用するための水と泡の消火剤がそれぞれ流れている。
避難通路に通じるドアの前で、吹き流しを使ってどれくらい風が吹いているかを体感。
避難通路に通じるドアの前で、吹き流しを使ってどれくらい風が吹いているかを体感。

地域の発展に大きく貢献 観光スポットとしても人気

NEXCO東日本 関東支社 東京湾アクアライン管理事務所長 大越秀治 千葉県出身。1994年入社。道路設備の補修や管理が専門。本社施設計画課、東北支社施設課などを経て、2018年7月より現職。
NEXCO東日本 関東支社 東京湾アクアライン管理事務所長 大越秀治 千葉県出身。1994年入社。道路設備の補修や管理が専門。本社施設計画課、東北支社施設課などを経て、2018年7月より現職。

「このツアーの醍醐味は『東京湾アクアライン』を車で利用している時とは異なる感覚を味わえること。参加された方からは『高速道路の安心・安全の仕組みがわかってよかった』『普段入れない海底トンネルの下に入れるなんて貴重な体験だった』などの感想をいただきます」

 と、NEXCO東日本関東支社東京湾アクアライン管理事務所の大越秀治所長。知ってほしいのは、海底を掘ったトンネルだからこその安心・安全の仕組みだという。

「山間部に造るトンネルと異なり、海底にシールドマシンで掘って造るトンネルは円形状になります。その結果、道路の下に生まれる空間を高速道路の安心・安全のための仕組みに活用しているということを、是非知っていただきたいですね」

開通から22年目の現在、都心方面と千葉房総地域間のアクセスは飛躍的に向上した。周辺地域の開発も進み、木更津市域では人口や住宅が増加。平成26年には33年ぶりに新たに小学校が開校するなど、地域の発展に大きな影響を及ぼしている。休憩施設「海ほたるパーキングエリア」も、海に浮かぶ特殊なロケーションから県内有数の観光スポットとして定着している。

「昨年のサマーフェスティバルや年末カウントダウンイベントも大盛況。さらに大勢の方に足を運んでいただける場所へと整備を進めています」

 

【予約はコチラ】
参加にはサイトからの事前予約が必要。定員は個人(火・水の午前・午後)各回20名、団体(木・金の午前・午後)各回20~50名。費用はおとな(中学生以上)¥1000(税込)、こども(小学3年~6年生)¥500(税込)。※小学生は成年者の同伴が必要です。※小学3年生未満は参加できません
http://www.umihotaru.com/ait_tanken/

みんなが集まる憩いの場に「海ほたる」リニューアル

 現在「海ほたるパーキングエリア」では、4月20日のグランドリニューアルオープンに向け5階店舗や各階トイレのリニューアル工事が進行中だ。フードコートやレストランもより魅力あるスペースに生まれ変わろうとしている。また、アクアラインの建設過程を映像で体感できる、「うみめがね~アクアラインシアター~」も併せてオープンする。

既にリニューアル工事が終了した「海ほたるパーキングエリア」5階の「フードコート。7つの専門店が軒を連ね「あさりらーめん」や「ち~ば丼」など地元の食材を使ったメニューを提供。
 
既にリニューアル工事が終了した「海ほたるパーキングエリア」5階の「フードコート。7つの専門店が軒を連ね「あさりらーめん」や「ち~ば丼」など地元の食材を使ったメニューを提供。
 
 
 
映像を用いて「東京湾アクアライン」の建設ストーリーや建設技術を体感できるも「うみめがね~アクアラインシアター~」が間もなくオープン。トンネル状の入り口から入ると、そこはまるで東京湾の海の中。
映像を用いて「東京湾アクアライン」の建設ストーリーや建設技術を体感できるも「うみめがね~アクアラインシアター~」が間もなくオープン。トンネル状の入り口から入ると、そこはまるで東京湾の海の中。

「高速道路の休憩施設として、観光スポットとして、いろんな世代の方が集える場所を目指し、お客さまと地域との交流拠点としての役割を果たしていきたいです」

 周辺地域では今後、圏央道の延伸(大栄~松尾横芝)や館山道の4車線化、スマートインターチェンジの整備など、高速道路の機能強化が予定されている。

「東京湾アクアラインの果たす役割は一層大きくなり、これからさらに交通量も増えることが見込まれています。休日の渋滞もより増大することが予測されるため、この対策が最大の課題。AIによる渋滞予知情報の提供をはじめ、しっかり対策を進めていきたいと思います」


東京湾アクアラインの「AI渋滞予知」がバージョンアップ!

 慢性的な渋滞緩和を目的に、2017年から東京湾アクアラインで実施されてきた「AI渋滞予知」による実証実験。これはNEXCO東日本がNTTドコモと共同で行っているもので、携帯電話の運用情報から得られる人口分布から数時間後の交通渋滞をAIで予測する画期的な技術だ。当日の人出をほぼ正確に捉えるため、天候やイベント開催など突発的な状況下でも的確に予測できることから、的中率は90%以上。先日、このシステムがバージョンアップ、当日の人出から「交通需要」を予測する世界初の技術により、30分ごとの通過所要時間を発信できるようになったという。「分散利用による渋滞緩和を実現するために、一人でも多くの方にこの情報を活用していただき、木更津で過ごす時間を延ばすなど行動変容を起こしてもらうことが必要。是非ご協力をお願いします」(NEXCO東日本/渋滞予報士・外山敬祐さん)。

30分単位で最大渋滞通過時間などが表記されるようになったAI渋滞予知情報。「ドラぷら」アプリからチェックを! 
 


https://www.driveplaza.com/ 

https://www.driveplaza.com/ 

 


提供/NEXCO東日本 http://www.e-nexco.co.jp/

出典元

驕れる安倍晋三のフェイクを撃つ

2019年2月28日号

2019年2月21日 発売

定価420円(税込)