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中学受験で「中小塾」はアリ? 良い塾を見分ける“5つのポイント”

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中小塾は「魅力的な選択肢」になり得る

 そこでもし、中学受験指導経験が豊富で力のある塾長が先頭に立って直接子供たちを指導する、個人塾あるいは中小塾が近くにあるのなら、大手塾の優位性を凌駕する、魅力的な選択肢になり得ます。個人塾や中小塾だからといって決して楽な中学受験勉強ができるわけではありませんが、大手塾の過当競争に巻き込まれることなく、それぞれの学力に合わせた比較的マイペースな中学受験を実現できる可能性が広がります。

 中小塾という選択は、もちろん大手からの転塾には限りません。いい塾さえ見つかれば、最初から中小塾で中学受験に挑むという選択ももちろんありです。

「自ら学べる子」であれば、大手だろうが中小だろうが、どんな塾に行っても大丈夫。でも、大手塾では与えられたものをただこなしていくだけになってしまう子や、逆にものすごく頭が良くて、大手塾での指導に「ここまでやる必要があるのだろうか」のように本質的な疑問を感じられる子供であれば、中小塾がおすすめです。

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 たとえるならば、大手塾は大手チェーン系のファミリーレストランのようなものです。かたや、中小塾というのは個人経営の飲食店。当たり外れが激しい。

 そこで、これまで取材したたくさんの専門家の意見と私自身の知識や経験を踏まえて、良い中小塾を見分けるチェックポイントを5つ紹介します。大手塾の校舎の良し悪しを見極めるときにも同様の観点が役立つはずです。

中小塾選びのポイント(1)「カリキュラム」は明確になっているか

 中学入試の動向を踏まえてオリジナルのカリキュラムを一から構成するのは、中小塾や個人塾ではまず不可能です。仮に開塾前に時間をかけて、一度はオリジナルのカリキュラムをつくりあげたとしても、自ら教壇に立ちながらそれを常にアップデートしていくことは非常に困難。つまり「オリジナルのカリキュラム」をうたう塾はまゆつばです。

 現実的には「予習シリーズ」や「中学受験新演習」のようなカリキュラム教材を導入するしかありません。「予習シリーズ」は難関校向けの教材。「中学受験新演習」は上位校くらいまでの学校に合格する学力を確実に付けるのに適した教材。そのどちらかを使用している塾に限定したほうが安全でしょう。

中小塾選びのポイント(2)「合格実績」が出ているか

 直近の合格実績が非常に良かったからといって、それをそのまま塾の実力と見なすことは危険です。たまたま大手塾の上位クラスから6年生になって転塾してきた優秀な生徒が1人いて、彼が1人で最難関校をはじめとする5~6の有名校の合格実績を稼いでいる場合もあるからです。

 1学年十数人という小規模塾であれば、過去数年分の生徒総数と合格実績をそれぞれ加算してみましょう。その実績と、大手塾の1校舎の合格実績を比べれば公平です。

 特に下のほうのクラスの子供がどんな学校に進学しているのかをたしかめるのがコツです。下のほうでもそこそこにいい学校に行けているなら、学力に関係なく一人一人の生徒に合った指導がされている可能性が高いと考えられます。