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連載この鉄道がすごい

東急電鉄「Qシート」の大井町線ユーザー優遇ぶりがスゴい

料金は400円。座席の下にはコンセントも

2019/02/18

 東急電鉄は昨年(2018年)12月14日から座席指定車両「Qシート」を始めた。大井町線から田園都市線に直通する急行電車の一部を指定席として運行する。田園都市線沿線住まいの筆者は、いままでに3回乗った。「快適」といえば大袈裟だけれど、疲れた身体にとって「座れる」は正義だ。400円の料金の価値はある。

「Qシート」は大井町線の起点、大井町駅から田園都市線の長津田駅まで走る急行電車のうち、平日の夜に5本が設定されている(2019年2月現在)。大井町駅の発車時刻は19時30分、20時30分、21時20分、22時27分、23時09分。だいたい1時間おきだ。つまり、お仕事でお疲れの方に着席を保証するためにある。しかし、私が最初に乗った理由は「酔っ払って辛かったから」。ゴメンナサイ。

「Qシート」に使用される6020系車両 写真提供:東急電鉄

発車間際の争奪戦がスゴかった

 初めて「Qシート」に乗った日、それは内輪の新年会の帰りだった。大井町線の急行停車駅、旗の台付近は私が高校卒業まで暮らした街。この駅から100歩くらいの場所に、「鳥樹」という鶏料理屋がある。中学の同級生がやっているだけに、酒に弱い私にも優しい。居心地が良い。つい長居してしまう。テレビの酒場紹介番組にときどき出ている。先日、スペインのテレビ番組から取材依頼があった。なぜか私に。

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 それはともかく、私にとってちょっと困ることがある。店ではなく「帰りの電車に座れない」だ。旗の台は大井町線の中間駅だ。急行も各停も、座席は起点の大井町駅で埋まってしまう。旗の台駅は池上線も通っていて、大井町線に乗り換える人も多い。だからわりと混雑している。私はいままで、旗の台から立ってポールや壁に寄りかかり、なんとか耐えてきた。

こちらは東急大井町線の6000系車両 ©iStock.com

 しかし、これからは「Qシート」があるじゃないか! 指定席券は大井町駅、旗の台駅、大岡山駅、自由が丘駅の窓口で買える。スマートホンでチケットレスサービスも利用可能。いつか乗る日が来るだろうと、事前に会員登録を済ませている。ブラウザでチケットレスサービスサイトを開き、シートマップ方式で空席を探す。旗の台駅の発車まであと15分。窓際席はほとんど埋まっていた。

Qシート予約サイト(https://q-seat.tokyu.co.jp/tq/top/)より