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安全・安心な高速道路を目指して上信越道で進む“かつてない”リニューアルプロジェクトとは?

高速道路最前線

いつまでも安全・安心な高速道路であるために、近年全国の高速道路でさまざまなリニューアルプロジェクトが実施されている。上信越自動車道の群馬、長野の2カ所で進む大規模工事もその一環だ。


 群馬県藤岡市の藤岡ジャンクションを起点に、関東地方と長野県東信・北信地方、新潟県上越地方をつなぐ上信越自動車道。この先も人々の暮らしや物流を支える安全・安心な高速道路であり続けるため、現在2つの大規模な工事が行われている。

トンネル真上にそびえる巨大な岩塊を撤去する難工事

 上信越道の松井田妙義IC~碓氷軽井沢IC周辺には、荒々しい岩肌の奇岩や急峻な岩壁が点在している。この区間にある北野牧トンネルで2017年から始まったのが、巨大な岩塊を撤去する大規模工事だ。

 安全・安心の基準は時代とともに変わる。1996年の北海道・豊浜トンネル崩落事故をきっかけに上信越道でも再調査・点検が行われ、北野牧トンネル西側の将来的な落石リスクが指摘された。

「そこで落石防護網などの追加対策を実施、地層の位置や岩の亀裂の状態を24時間365日細かくモニタリングし安全・安心を守ってきました。その後の東日本大震災の際も全く変状、崩落は発生していないことから、現在は安定が保たれていることが確認されています。しかし、風化しやすい溶岩質を含むことや、予期せぬ地震発生の可能性を考え合わせると、岩塊そのものを除去するのが長期的な安全・安心につながるという結論に至り、岩塊撤去工事に着手することになりました」

 と、NEXCO東日本関東支社の新井恵一佐久管理事務所長。今回の工事は高速道路の交通規制など本線への影響を最小限に抑えるため、トンネルの西側と東側の双方向から行うという。しかも、トンネルのある場所は標高720メートルの山岳地帯。その上の岩塊を撤去するというのだから難工事になることは間違いない。

平均傾斜角約70度。断崖絶壁の斜面の高さはトンネル天端から約70メートルに及ぶ。供用中の高速道路で安全に工事を実施するべく、工事は西側(写真左)と東側(写真右)の双方向から実施。現在は巨大クレーンを用いて、落石対策工事に向けた準備工事が進行中。
平均傾斜角約70度。断崖絶壁の斜面の高さはトンネル天端から約70メートルに及ぶ。供用中の高速道路で安全に工事を実施するべく、工事は西側(写真左)と東側(写真右)の双方向から実施。現在は巨大クレーンを用いて、落石対策工事に向けた準備工事が進行中。
STEPⅠ)2017年2月、岩塊撤去工事に着手するための準備工事を開始(工期始)。
STEPⅡ)2023年春頃から、岩塊を掘削して段階的に撤去していく。
STEPⅢ)2028年冬頃、岩塊撤去終了予定。
STEPⅠ)2017年2月、岩塊撤去工事に着手するための準備工事を開始(工期始)。
STEPⅡ)2023年春頃から、岩塊を掘削して段階的に撤去していく。
STEPⅢ)2028年冬頃、岩塊撤去終了予定。

「来年度にはトンネル西側の本線出口に落石防護のための屋根を架設、その後、高さ70メートルの岩塊の前面に足場を施工します。撤去工事の完成は2028年冬を予定しています。全国的にも事例が少ない大規模な岩塊撤去工事となり、加えて、工事に伴い、上下線で車線規制を実施しますが、安全・安心を第一に取り組みますので、是非ご協力をお願いします」

北野牧トンネル西側の工事現場に設けられた専用モノレール。総延長410メートル、最高斜度38度。本線の脇、標高700メートルの地点まで人や資材を運搬し工期短縮を目指す。
北野牧トンネル西側の工事現場に設けられた専用モノレール。総延長410メートル、最高斜度38度。本線の脇、標高700メートルの地点まで人や資材を運搬し工期短縮を目指す。

地滑りリスク解消のため供用中の道路をトンネル化

 一方、長野県の坂城IC~更埴JCT区間に位置する蓬平(よもぎだいら)地区では、大規模なのり面対策工事が進んでいる。この辺りは千曲川に向かって緩やかに傾斜する地滑り地形。その土地を削り高速道路が造られている。ところが、建設時から続けられている調査・点検において、あるリスクが指摘されたという。

「動態観測でのり面に小さな変状が確認されました。そこで、のり面に打ち込み地滑りを食い止めるアンカーを増設するなどの対策を行ってきましたが、地滑りは慢性的なもの。さらに今後はアンカーの老朽化も懸念されるため、将来的な安全・安心を保つには、大規模な対策工事が必要だという決断に至りました」

 と、NEXCO東日本関東支社の志農和啓長野管理事務所長。この工事では約300メートルの高速道路に押え盛土対策を行うため、高強度の構造物を並べ、トンネル化するという。

「完成は2023年の予定。供用中の高速道路をトンネルに変える工事は、国内でも初めてだと思います」

 蓬平の工事現場の周辺には住宅や学校、りんご畑などがある。

山を削って切り開いた蓬平の上信越道。現地では高強度の構造物を本線上に敷設する工事の準備が始まっている。
山を削って切り開いた蓬平の上信越道。現地では高強度の構造物を本線上に敷設する工事の準備が始まっている。
施工前の道路(左)に構造物を並べ、最終的には構造物の上を土で覆ってトンネル化する(右)。
施工前の道路(左)に構造物を並べ、最終的には構造物の上を土で覆ってトンネル化する(右)。
右・NEXCO東日本 関東支社 佐久管理事務所長
新井恵一:群馬県出身。1994年入社。建設部門の技術士。仙台や札幌、さいたまを経て、2018年7月より現職。
左・NEXCO東日本 関東支社 長野管理事務所長
志農和啓:熊本県出身。1983年入社。建設部門の技術士。広島や沖縄、千葉などを経て2017年7月より現職。
右・NEXCO東日本 関東支社 佐久管理事務所長
新井恵一:群馬県出身。1994年入社。建設部門の技術士。仙台や札幌、さいたまを経て、2018年7月より現職。
左・NEXCO東日本 関東支社 長野管理事務所長
志農和啓:熊本県出身。1983年入社。建設部門の技術士。広島や沖縄、千葉などを経て2017年7月より現職。

「今回は新たに道路を建設して生活が便利になるという工事ではなく、長期的な安全確保に向けた対策工事ですが、その重要性を地元の方や本線を利用されるお客様にご理解・ご協力いただきながら、安全第一に工事を進めたいと考えています。また、2021年に下り線、上り線それぞれで対面通行規制の予定がありますので、皆様のご協力をお願いします」

 

【外環道リニューアル工事のお知らせ】

 東京外環道内回り美女木JCT⇒和光北ICの区間で、3月31日(日)の22時から、昼夜連続車線規制を行います。朝・夕の交通量の多い時間帯には、最大10㎞の渋滞が見込まれるほか、周辺の一般道路でも混雑が予測されます。

 また、この工事に伴い、時間帯により美女木JCTの首都高速から東京外環道内回り大泉方面への入口と戸田西IC入口がご利用できません。

 工事に関する詳しい情報や工事期間中の所要時間、迂回などの情報については「工事情報特設サイト」をご覧ください。
https://www.e-nexco.co.jp/renewal/h31gaikan/

提供/NEXCO東日本 http://www.e-nexco.co.jp/

出典元

眞子さまを傷つけた紀子さまのお言葉

2019年3月28日号

2019年3月20日 発売

特別定価440円(税込)