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35歳でがんになるってどんな感じ? 1歳子持ちの女性ライターが大腸がんになって思ったこと

2019/03/01
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がんになった事実よりショックだったこと

 池江璃花子さんが白血病を公表したことで若年がん患者に注目が集まっていますが、自分のような39歳以下の若年がん患者をAYA世代(Adolescent and Young Adult)と呼ぶそうです。この世代は進学、就労、結婚、子育てなどなどライフイベントがもりもりあるので、がんになるとその分、対処しなければいけないことも多くなります。

 私自身がんになったこともショックでしたが、それより産まれてから一度も離れたことのなかった子供と突然会えなくなったこと、抗がん剤によって授乳ができなくなったこと(おっぱいから薬の毒が赤ちゃんにいってしまうので)、そして抗がん剤治療で妊娠できなくなる可能性が高いこと――これらがなにより心をえぐられた出来事でした。

 がん治療によって妊孕性(=妊娠できる力のこと)が低下してしまう恐れがあることについてはほとんど報じられていない気がします。これは由々しき事態で、タイミングを逸すると本当に取り返しがつきません。なので声を大にして言い続けていきたいと思っています。

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 ちなみに私はその高額な費用や副作用、年末年始に入ってしまうゆえの無茶なスケジュールなどで散々悩みましたが、夫の「それをお守りにすればいいじゃん」というナイスなLINEによって、受精卵の凍結を決めたのでした。

受精卵凍結を決めた夫婦のLINEトーク画面

 とはいえ、凍結した受精卵が使えるのは最短でも再発の可能性が低いとされる5年後。私はその時40歳になり、夫は50歳。「やれんのか!」という感じですが、実際に使うかどうかは5年後にまた悩もうと思います。そういった意味でも、人生で一番高価なお守りになりました。そして支払いは今月末。今からお腹が痛いです。