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睡眠障害の専門家・岡島義(いさ)先生に学ぶ――睡眠の質を高めるために意識するべき睡眠のリズムとは。

睡眠特集

春は一年でもっとも睡眠をとるのに適した季節と言われても、ぐっすりと眠れない、寝つきが悪いなど、睡眠の悩みはつきないもの。そこで睡眠の質を高めるために何をしたらいいのかを不眠改善をはじめ睡眠を専門に研究する、東京家政大学の岡島先生に聞きました。


睡眠に必要な3つのリズム

 毎晩しっかり寝ているつもりなのに目覚めが悪い、ベッドに入ってもなかなか寝つけないなど、睡眠に悩んでいる人は多いと思います。では、どうすれば睡眠の質を高めることができるのか。大切なのは、睡眠に必要なリズムを意識することです。そのリズムとは(1)夜になったら眠るリズム、(2)疲れたら眠るリズム、(3)体温が下がったら眠くなるリズムの3つです。

(1)は当たり前のことですが、人は夜になったら眠くなるようにできています。ところがこの眠気は、光を浴びた時間帯によって前進したり、後退したりします。朝、強い光を浴びると眠気は前進し、夜に強い光や弱い光でも長時間浴び続けていると眠気が後退します。この場合の光を浴びるとは、体に当たる量ではなく、目から取り入れる光の量と強さを指します。寝つきが悪いという人は、朝は太陽を視野に捉えられる方向に顔を向けて外を歩く、夜は目を光から守るためにPC眼鏡をかけたり、自宅はなるべく間接照明などを使い部屋を薄暗くするなどを心がけるといいでしょう。

(2)の疲れたら眠るリズムとは、日中に激しい運動をすることではありません。睡眠欲求は、朝起きた瞬間から溜まり始めます。日中、起きたまま過ごすとどんどん睡眠欲求が高くなり、(1)のリズムとぶつかるときに強い眠気が起こります。日中に長時間昼寝をしたり、うたた寝していると夜になっても眠くならないのは睡眠欲求が解消されてしまうからです。

東京家政大学 人文学部 岡島 義准教授
睡眠障害や気分障害、不安症を認知行動療法により改善する研究を行う。主な著書に『4週間でぐっすり眠れる本』(さくら舎)などがある。
東京家政大学 人文学部 岡島 義准教授
睡眠障害や気分障害、不安症を認知行動療法により改善する研究を行う。主な著書に『4週間でぐっすり眠れる本』(さくら舎)などがある。

3つのリズムを意識した生活を

(3)の体温とは、体の中心部の温度である深部体温のことです。深部体温が高いときに眠気はほとんどなく、深部体温が下がり始めると眠りにつきやすくなります。深部体温は手足の先にある末梢部分から熱を放出することで下がります。冷え症の人がなかなか眠れないというのは、手足の温度が上がらないため、深部体温が下がらないのが原因です。

 深部体温が下がるには1~2時間かかります。寝る時刻の2~3時間前に軽い運動をしたり、1~2時間前に入浴をして深部体温を上げておくと、眠る時刻が近づくにつれ深部体温が低下し、質の高い睡眠をとりやすくなります。

(1)~(3)の3つのリズムを意識して生活するだけでも、睡眠の質は格段に良くなります。プラスアルファとしてマットレスを高反発のタイプに替えてみたり、睡眠のリズムを整えるサプリメントなどを試してみたりと、睡眠の環境を整えることで睡眠への意識が高まり、より快適に睡眠をとることができるようになります。