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連載今夜も劇場へ

伊藤博文暗殺犯・安重根は、30歳で死刑となるまでをいかに過ごしたか

文学座『寒花』――今夜も劇場へ

2019/02/22

 文学座『寒花』が公演される。一九〇九年に伊藤博文を暗殺し、翌年三十歳で刑死した安重根(アンジュングン)の最後の一ヶ月余りの様子を描く。死刑囚は、孤独な旅順の監獄で、通訳を始め周囲の人々との間で人間的な関係を築いていく。

 安重根(瀬戸口郁)は、自伝を記しつつ、泰然として死刑執行の日を迎える。人間関係の最初の相手は通訳(佐川和正)。その通訳と同級の仲にある監獄医(若松泰弘)は傍観者的皮肉屋だ。死刑囚はクリスト教徒であり、事故で落下する時に神の啓示を得た。その時に聞こえたのは母の胎内に居た時の心拍の音だ。

 鐘下辰男の脚本は極限状態にある人間の心理を鋭く抉り出す。昨年のハツビロコウ公演では、静寂の中、時計の音によって緊迫した濃密空間を造り出した。今回演出の西川信廣は真面目で端正な雰囲気を造ることだろう。『寒花』は極寒の旅順監獄の周囲に降る雪を指している。

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INFORMATION

文学座『寒花』
鐘下辰男作、西川信廣演出
3月4日~12日、東京・紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYA
http://www.bungakuza.com/kanka/index.html

出典元

驕れる安倍晋三のフェイクを撃つ

2019年2月28日号

2019年2月21日 発売

定価420円(税込)

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