昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

米中に差をつけられた日本のAI研究 専門家はなぜ“高専生”に期待するのか

 ようやく日本政府の尻に火がついたのだろうか。

 先日、政府が2019年度予算案で計上したAI(人工知能)関連予算が総額1200億円に上ることが報道された(「産経新聞」2019年2月7日付)。これは18年度予算の実に1.5倍に当たり、初めて1千億円を超えることになった。AI関連予算は、17年度が575億5千万円、18年度が770億4千万円だから、着実に増えてきてはいたが、ここにきて一気に拡大した形だ。

 背景には、アメリカや中国にAI関連技術で大きく水をあけられている現状への危機感がある。

 文部科学省の集計によると、年間でアメリカは5千億円、中国は4500億円ものAI投資を政府が行っている。さらに民間の投資へと目を転じると、同じく文科省が主要企業分を積み上げて算出した投資額は、日本企業が6千億円超なのに対し、アメリカはなんと7兆円以上と桁外れだ。国家予算に重点を置く中国でも、6千億円以上の民間投資が行われているという。

©iStock.com

 今回、日本政府が予算を1.5倍に増やしたのは、AI研究にとっては追い風だが、ライバル諸国はさらに力を入れていることを忘れてはならない。

 アメリカは2月、トランプ大統領がAIの開発強化を連邦政府に命じる大統領令に署名。AI開発に予算を重点配分するよう指示した。中国はAIを火薬、核兵器に次ぐ“第三の革命”と位置づけており、官民協力体制を組んで、2030年には16兆2千億円という市場規模を形成することを計画。AI分野で世界のリーダーになることを目標に掲げる。

 結果として、どれだけ日本の研究者が努力しようとも、AI関連分野での研究論文の被引用回数を見ると、アメリカや中国とは大きな差がついてしまっている。AIを利用した製品開発も、日本発のものはもはや両大国に比べて“周回遅れ”の状況だ。