文春オンライン

乳がんで“全摘出”を決めたAV女優のまりかさん「私が乳房再建のドクターにお願いしたこと」

Maricaインタビュー #2

2019/03/14

私が優先したかった「ポルノに復帰したい」という気持ち

<部分摘出のメリット>
・手術時間が短い。
・自分の胸を温存できる。

<部分摘出のデメリット>
・部分摘出を予定して切開した際に、想定よりもがんが大きかった場合、腫瘍を取らずに閉じて、もう一度手術を行うことになる。
・最低40回の放射線治療を行う必要がある。ただし、放射線治療を行うと、皮膚が硬くなって跡が残るケースもある。
・放射線治療を行なった後に再発し、全摘出手術を行なったら、シリコンのバストをつけるのが難しくなる。
・すでに腫瘍を取っているため小さくなっていた右の乳房がさらに小さくなってしまう。つまり左右のバランスの違いが大きくなってしまう。

◆ 

<全摘出のメリット>
・傷が治れば治療も完了。バストをきれいな状態で保てる。
・約半年で傷はメイクで隠せるレベルになる。

<全摘出のデメリット>
・再建も同時に行うので、手術時間が長い。
・自分の胸を失う。

◆ 

ADVERTISEMENT

<抗がん剤治療について>
・いずれの手術を受けても行う可能性がある。抗がん剤治療を行うケースは2パターン。複数の場所に転移していた場合と、がんの種類が抗がん剤で治療できるタイプだった場合。
・転移については「おそらく心配ない」とは言われていたが、これも手術するまで確実なことは分からない。

※まりかさんが受けた診断に基づいた内容です。

 2つの手術のメリット・デメリットを聞いた後の私は、「全摘出」一択でした。私が最も優先したかったのは「ポルノに復帰したい」という気持ちでしたから。

©iStock.com

 アメリカのポルノスターの多くは、バストの美容整形をしています。彼女たちにとっては、隠すようなことではなく「プロだからお金をかけて、より自分をセクシーに見せる努力は大事なこと」という考え方をしています。インスタなどで「これからおっぱいに生理食塩水を○○cc入れてくるの。もっとセクシーなおっぱいを作ってくるから楽しみにしてて!」なんて動画をアップする人もいるくらい。

 だから乳がんの手術をして、胸がシリコンになったところで、ポルノに復帰するにあたってのデメリットが大きいとは思えませんでした。

 もちろん全くデメリットがないわけではありませんが、がんと闘い、そしてポルノに復帰する。その経過をSNSやYouTube、ブログを始め、様々な形で発信することで、同じようにがんと闘っている方たちの何かしらの役に立てるのではないかと思ったのです。