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「断捨離」や「こんまり」の元祖、『「捨てる!」技術』の著者が遺したもの

池田暁子が『あなたがひとりで生きていく時に知っておいてほしいこと』(辰巳渚 著)を読む

2019/03/10
note
『あなたがひとりで生きていく時に知っておいてほしいこと ひとり暮らしの智恵と技術』(辰巳渚 著)

 大ベストセラー『「捨てる!」技術』の著者、辰巳渚先生の最新作。先生は原稿をほぼ完成させた昨年6月にバイク事故で急逝、本書が遺作となった。

 子や孫にあたる音楽をさんざん聴いた耳でビートルズを聴いても登場時の衝撃を追体験できないのと同様、2000年に発売された『「捨てる!」技術』を今読んでもその凄さはピンと来ないかもしれない。

 当時、「捨てる!」という選択肢の存在自体に衝撃を受けた私は捨てて捨てて捨てまくった。しかしまたすぐモノだらけに。なぜ? 「私の場合、使ってるモノを山から救出して置き場を確定するのが先だ!」と気づいて片づけ、『片づけられない女のためのこんどこそ!片づける技術』を発表したのが2007年。

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 わかっちゃいるけど片づけられないのには理由がある。それぞれに理由を探りつつ先生の背中を追う我々。

 2009年発売のやましたひでこ氏『新・片づけ術 断捨離』は「モノを断ちガラクタを捨てれば執着も離れていく」と説き、2011年発売の『人生がときめく片づけの魔法』で「ときめくものだけ残しましょう」と説くこんまり氏は今年、米映像配信大手Netflixの番組で独自の片づけ術を指南し話題を呼んだ。

 発売から20年近く、今なお『「捨てる!」技術』の衝撃波は広がり続ける。