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連載僕が夫に出会うまで

「男らしくしなさい」と怒られていた僕が、先生に叱られても嬉しかった日

悪友と生活指導室に呼び出され……僕が夫に出会うまで #10

2019/03/21

連載「僕が夫に出会うまで」

 

2016年10月10日に、僕、七崎良輔は夫と結婚式を挙げた。幼少期のイジメ、中学時代の初恋、高校時代の失恋と上京……僕が夫に出会うまで、何を考え、何を感じて生きてきたのかを綴るエッセイ。毎週連載。

 

(#1「とある夫夫(ふうふ)が日本で婚姻届を出したときの話」を読む)

幼少期編#2#3)を読む)

中学生編#4#5#6#7#8#9)を読む)

(前回の記事「ゲイであることを隠すために付き合った女友達が、十年後に教えてくれたこと」を読む)

 中学時代のブレザーの制服から、着慣れない学ランに身を包み、僕の高校生活はスタートした。

 

 入学当初、自分の席に両手で頬杖を付いて座っていると、他のクラスの男子がわざわざ僕のクラスを覗きにきて、ボソボソと言った。

「あの人がオカマ?」

「そうだよ、だって座り方、かわいくね?」

 自分の噂を聞きつけて、わざわざ見にきたのだとすぐにわかった。「かわいい」というフレーズを聞いて、会釈でもしておくべきかと迷ったが、気づかないふりをしておこうと思った。入学早々目立ってしまったが、そんな僕は、思いがけないことだったが、この高校で男女問わず、かけがえのない、たくさんの友達をつくることになる。

親友のアズと生活指導室に呼び出された

 高校生活は本当に充実し、毎日が冒険のようで楽しかった。

 北海道の高校なので、夏場は自転車で40分かけて登校し、雪が積もるとバスでの登校になる。入学して数ヶ月がたったころ、突然、僕とアズは生活指導室に招かれた。

 アズは身体も、声も、態度もでかい女友達で、僕は毎朝、アズと2人で登校していた。

筆者(七崎良輔さん、右)とアズ(左)(筆者提供)

 閉鎖された生活指導室に招かれた僕とアズの前には、校内でも最もイカツイ先生が座っていた。先生が口をひらく。

「お前ら、自分達が何をして呼び出されたのかわかってんのだろうなぁ、え? 言ってみろ」

「え、わからないんですけど」

 本当に心当たりがなかった。

「お前は!」

「わかんないっス」

 アズにも心当たりがないようだった。先生は軽く舌打ちをして、こう続けた。