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連載僕が夫に出会うまで

キューピッド役だったはずの高校生の僕は、恋するゲイ少年となった

サッカー選手にいそうなイケメンの彼にアドレスを聞かれ……僕が夫に出会うまで #11

2019/03/21

連載「僕が夫に出会うまで」

 

2016年10月10日に、僕、七崎良輔は夫と結婚式を挙げた。幼少期のイジメ、中学時代の初恋、高校時代の失恋と上京……僕が夫に出会うまで、何を考え、何を感じて生きてきたのかを綴るエッセイ。毎週連載。

 

(前回までのあらすじ)中学生の頃まで「オカマ」と言われ、いじめられていた僕は、高校でたくさんの友だちに恵まれた。ある日、悪友のアズと一緒に生活指導室へ呼び出された僕は、先生から「通学中のバスでは静かにするように」とあまりに普通のことで叱られ、少しうれしくなったのだった。

 

(#1「とある夫夫(ふうふ)が日本で婚姻届を出したときの話」を読む)

幼少期編#2#3)を読む)

中学生編#4#5#6#7#8#9)を読む)

(高校生編(#10)を読む

(前回の記事「『男らしくしなさい』と怒られていた僕が、先生に叱られて嬉しかった日」を読む)

 高校入学から少し時が経ち、暑い季節がやってきた。同じクラスの男友だちが僕に言った。

「1組の長谷川って奴が、七崎のアドレスを知りたいって言うんだけど、教えてあげていいかな?」

「いいけど、その人の事を知らないし話した事もないんだけど。なんでだろう?」

 

「なんか、お願いしたい事があるって言ってた。内容はよくわからないや」

「そうなんだ、わかった、メール待ってると伝えて!」

 その日の夜、早速メールが届いた。内容はこうだった。

「長谷川です。七崎にお願いがあります。俺、津田さんの事が好きなんだけど、七崎は津田さんと仲が良いから、仲を取り持ってもらえないかな」

校内でも指折りの美人だった津田っち

 僕は女友達が多かった。中でも津田っちは校内で指折りの美人で、身長も高くスタイルもいい、僕のクラスの女友達だ。めちゃくちゃ美人だが、男に媚びない性格のせいか、それとも美人すぎると男子はビビッて近寄れないのか、モテている印象はない。

 ハセからのお願いを受け、そんなの簡単じゃん! と思った僕は快諾した。ハセは津田さんと二人きりでは緊張してしまうらしく、何人かで動物園へ行きたいようだ。僕は、次の日学校で津田っちを見つけると、「津田っちー!」とさっそく駆け寄った。

「ねぇ、津田っち、1組のハセって人が、津田っちの事が好きなんだって。だから円山動物園に行くことになったんだけどいい?」

「え~、なにそれ、どんな人なの? ウチ、その人のこと、何も知らないけど」

高校時代の筆者(七崎良輔さん、右)と津田っち(左)(筆者提供)

「そうだよ、だから動物園にみんなで行って、知り合いたいんじゃないの?」

「そういうもん? まあ、ななぴぃも行くなら、別にいいけど」

 ななぴぃとは僕のあだ名だ。動物園行きが決定した時、ハセがちょうど僕のクラスを覗きにきていた。この時が僕にとって、ハセとの初対面であった。