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連載僕が夫に出会うまで

好きな男の子と入る温泉で、一触即発の危機を僕はどう回避したか

恋するゲイ少年にとっては拷問だった……僕が夫に出会うまで #12

2019/03/21

連載「僕が夫に出会うまで」

 

2016年10月10日に、僕、七崎良輔は夫と結婚式を挙げた。幼少期のイジメ、中学時代の初恋、高校時代の失恋と上京……僕が夫に出会うまで、何を考え、何を感じて生きてきたのかを綴るエッセイ。毎週連載。

 

(前回までのあらすじ)高校でたくさんの友達に恵まれた僕は、違うクラスの男の子・ハセに女友達の津田っちを紹介するよう頼まれる。ハセと津田っちの距離は縮まらず、キューピッド役のはずの僕はハセに恋心を抱いてしまう。

 

(#1「とある夫夫(ふうふ)が日本で婚姻届を出したときの話」を読む)

幼少期編#2#3)を読む)

中学生編#4#5#6#7#8#9)を読む)

高校生編#10#11)を読む

(前回の記事「キューピッド役だったはずの高校生の僕は、恋するゲイ少年となった」を読む)

 ハセはそれからもずっと津田っちの事が好きだった。津田っちの素晴らしさや、津田っちの美しさ、津田っちへの熱い想いをハセは何度も僕に話して聞かせた。

 僕はハセに「諦めろ」と言い続けた。「恋愛なんかよりも友達同士で高校時代を謳歌しようじゃないか!」と。そして僕とハセは、よく一緒に遊ぶ仲となっていった。

©平松市聖/文藝春秋

 ハセは温泉や銭湯を巡るのが好きだったから、学校近くの温泉にはしょっちゅう二人で行っていたし、たまに遠出をして、大きなレジャー温泉施設や、泊りがけで定山渓()(じょうざんけい)温泉へ行った事もある。

樽風呂にハセが入ってきた

 この日はハセと2人で温泉レジャー施設に来ていた。とても大きくて、お風呂の種類も沢山あった。僕はハセよりも先にシャワーを浴び終えると、どのお風呂に入ろうか、うろうろ見て歩き、いいお風呂を見つけた。大人が丁度1人入れるサイズの、小さな樽風呂だ。

 樽風呂につかっていると、シャワーを浴び終えたハセがやってきた。樽風呂の横にある大きなお風呂に入るのかと思いきや、ハセは僕のいる、小さな樽風呂に一緒に入ってきたのだ。

 樽風呂のサイズは大人一人分のサイズだ。二人で入るのには無理があると思ったが、ハセは何も感じていないようだ。

 なんとか向かい合う形で、樽には収まったが、お互いの脚が1本ずつ、お互いの股の間に入っている形に収まってしまった。それだけでも大変なことなのに、僕の足の甲にはハセの股間がゆらゆらと当っているではないか!