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連載近田春夫の考えるヒット

ナマで味わってみたいWANIMAの強い声――近田春夫の考えるヒット

2019/04/01

『アゲイン』(WANIMA)/『ハグルマ』(KANA-BOON)

絵=安斎肇

 WANIMAとKANA-BOONの新譜を聴き、まず思ったのは、エレキバンドという形態は連綿として今なお若者たちに愛され続けているんだよなぁ……ということだろうか。

 俺が初めて“エレキ”を見た/知ったのは小学生の頃だ。楽器屋の壁にディスプレイされた、赤や青の色味も鮮やかな、楽器にしてはいびつといっていい形状の筐体(きょうたい)(?)にスイッチやダイアルなどのつまみ類もポップ/キッチュな佇まいと、周囲に陳列されたシリアスな(ゴキブリ色の)古典的弦楽器群の意匠との対比/関係があまりに極端というか刺激的で、店内の光景がアタマに焼き付き、なんだかクラクラとしてきたものだ。

 今となってふりかえれば、きっとそれらは楽器とはいえ、当時の意味での「メイドインジャパン」な作り――オモチャに毛の生えたような程度――のシロモノだったのだろう。が、なんにせよ、子供の身にはその外見から一体どのような音が飛び出してくるものなのか、皆目見当もつかず、アレコレ想像を巡らしながら、見とれていたことを思い出す。

 そこからしばらくして興ったのが、いわゆる“エレキブーム”だった。そしてその表層が“グループサウンズ”へと移り変わろうと、ムーブメントの中核を担う、すなわち若者たちに強い影響力を持つ――音楽というよりはエレキの格好よさに惹かれミュージシャンの道を志した可能性も高い――心やさしき憧れの先輩がたは、音量の圧倒的な破壊力、はたまたみてくれや音質の官能性に頼んでは、ステージ活動にいそしむかたわら、ガールハント(ナンパ)にもその魅力を十二分に活用(いや悪用だね!)していたのを、私は忘れはしない(笑)。

アゲイン(「Good Job!!」収録)/WANIMA(WARNER)熊本県出身者3人によるロックバンド。4枚めのシングル。

 おっと、話が脱線してきた。

 今回登場のふたつのグループの演奏映像を観ていて、さらに思うところもあった。

 それは冒頭述べた通り、昔の“バンドマン”も彼等21世紀の“アーティスト”も、たしかに同じようにエレキギターを小脇に抱えてはいるけれど、ひょっとすると、共通点といえば、もうそこだけになっちゃったのかも知れないなぁということである。といいつつ、そのあたりの説明は、残りの紙幅ではちょいと厳しい。申し訳ないがまたいずれにさせていただくとして、純粋にフィジカルな面に的を絞ってみても、演奏にしろ歌唱にしろ、かつての時代とは、力強さや安定感のレベルが比べものにならぬほど高くなっているのはたしかだ。また、楽曲もその身体能力をより強調するかのように作られているのが画面からもみて取れる。

 実際の話例えばWANIMAの人の喉といったら! もはや彼等を好きとか嫌いとかいってる場合ではない。こんな強い声を余裕で出しているのである。一度はナマで味わってみたいと、思わぬ方がおかしい。いや、マジよ!

ハグルマ/KANA-BOON(SONY)大阪出身者主体の4人組ロックバンド。メジャーデビュー6年め。12枚めのシングル。

 ま、そういった格闘技的視点(?)では甲乙つけ難い両者であったが、作品的にはヒネリの効いていた分、僅差でKANA-BOONの勝ちかなぁ。

今週の告知「先日、スモール出版さんからこのコラムをジャニーズ縛りでまとめた本を出してもらったけれど、今度はオレが昔やっていたビブラストーンの歌詞集、“VIBE RHYME”の復刻版がでたよ!」と近田春夫氏。「ネットオークションでは高額で取引されていて、一冊も手元に残してなかったから、本当、残念に思ってたんだよね(笑)」

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出典元

眞子さまを傷つけた紀子さまのお言葉

2019年3月28日号

2019年3月20日 発売

特別定価440円(税込)