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連載僕が夫に出会うまで

ゲイで高校生の僕は、好きな人を「好き」と言える恋敵が羨ましかった

僕が夫に出会うまで #13

2019/03/28

連載「僕が夫に出会うまで」

 

2016年10月10日に、僕、七崎良輔は夫と結婚式を挙げた。幼少期のイジメ、中学時代の初恋、高校時代の失恋と上京……僕が夫に出会うまで、何を考え、何を感じて生きてきたのかを綴るエッセイ。毎週連載。

 

(前回までのあらすじ)高校でたくさんの友達に恵まれた僕は、違うクラスの男の子・ハセに女友達の津田っちを紹介するよう頼まれる。ハセと津田っちの距離は縮まらず、キューピッド役のはずの僕はハセに恋心を抱いてしまう。

 

(前回の記事「好きな男の子と入る温泉で、一触即発の危機を僕はどう回避したか」を読む)

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 ハセのクラスが体育の授業へ行くと、僕は教室で、授業中ずっと廊下を眺めてすごした。体育の授業は、着替えるために、チャイムが鳴る少し前に終わって、ジャージ姿のハセが僕の教室の前を通るからだ。

 

 ハセが、僕のクラスの前を通る際に、僕の教室を覗いて、僕を探してくれたことは1度もないが、ハセが僕の教室の前を通るというだけで、僕は授業どころではなかったし、実際にジャージ姿のハセが通ると、僕の心はそれだけで躍るのだった。

「ハセが好きだ」と公言した恋敵「愛」

 そんな幸せな生活が続いていた2年の夏だった。ハセのいる1組の中に「ハセの事が好きだ」と宣言した奴がいた。その女子の名前は「愛」だ。

 愛はハセの事が好きだと公言したが、好きな人を公言するメリットはただ1つしかない。それは、周囲の人の協力を得られる事だ。実際に愛は1組の女子をほとんど自分の味方につけているように思えた。

 僕は、ハセと愛が付き合ってしまったら、どんなに嫌かを想像した。きっと、ハセは、愛とばかり遊ぶようになって、僕といる時間は制限されてしまうだろう。愛が中学時代の秀美になるわけだ……。身ぶるいする程嫌だった。愛なんかに、ハセは渡せないと思った。ハセと愛が付き合わないように、行動あるのみだ。