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1990年生まれの同級生 楽天・浅村、辛島が語った『則本への思い』

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/04/06

 4月2日、東北開幕戦。

 楽天イーグルスファンにとっては、これほどテンションの上がる日はない。開幕カードはZOZOマリンで千葉ロッテ相手に初戦は落としたものの、2戦目、3戦目を勝利し勝ち越してのホーム開幕戦となった。

 チケットは早い段階で完売。スタジアムいっぱいのTOHOKUのファンが熱い視線を送る。その大事な先発マウンドを託されたのは、期待のサウスポー・辛島航選手。変化球を変幻自在に操り、緩急使ってバッターを仕留めるのが最大の魅力である。

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 ゲームは4月にも関わらず試合序盤に22分間も中断するほど雪が強く降っていた。選手の吐く息も白く、今までに見たことのない光景が楽天生命パーク宮城にあった。

 しかし、そんな中、辛島選手は見事7回を投げきり、3安打無失点8奪三振という文句なしのピッチングを見せてくれた。打っては開幕から4番に座る、島内宏明選手の先制タイムリー、8回裏には浅村栄斗選手の移籍後初ホームランとなる左中間スタンドへのダメ押し2ランで3-1で、見事にホーム開幕戦を白星で飾った。

東北開幕戦の投打のヒーロー、浅村選手と辛島選手 ©RakutenEagles

東北開幕戦で活躍した1990年生まれの二人

 今回は1990年生まれの投打のヒーローに一夜明けて話を聞かせてもらった。まずは今季からイーグルスの一員になった背番号3・浅村選手。

河内 「打った瞬間ホームランだと思いましたか?」

浅村選手「入るとは思わなかったですけど、外野の頭は越えると思いました。入ってよかったです。しかもプロに入っての第1号も同じような所にホームランを打ったので、1日経った今も不思議だなと思いますね」

 プロ入り初ホームランは2010年8月10日。しかも楽天イーグルス戦、まさに同じスタジアムであったのである。そこから約9年後にイーグルスのユニフォームを着て、同じような打球の移籍後初ホームランを打つことを誰が想像しただろうか。

 7回無失点でマウンドを降りた辛島選手に必ず勝ちをつけるためにも打ってやろうという気迫を感じましたと伝えると、「最後の最後で打ったので、これからはもう少し早い段階で援護できればなと思います」と、頼もしく語ってくれた。

移籍後初ホームランを放つ浅村選手(好きなおにぎりは『わかめ多めおにぎり』) ©RakutenEagles

 1990年生まれの同級生といえば、浅村選手の入団会見にサプライズで登場した則本昂大選手がいる。今の則本選手へきっと思うところがあるのではないかと思い質問してみた。

河内「今日のホームランは則本選手もきっと喜んでくれていると思いますが、浅村選手から、則本選手にどんな声を掛けたいですか?」

浅村選手「逆に声をかけないです。本人が一番、自分の状態を分かっているし、意識させるのもよくないので、ゆっくりケガは治してもらって、帰ってきた時にはチームのエースですから絶対やってくれると思っています」

 多くを語らずともチームメイトを心から思いやる浅村栄斗選手の一面を見た。

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