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「3回ならプロを抑えられる」 星稜・奥川恭伸が“別人のような投手”に成長した時

2019/03/30
試合中はゆで卵と干し芋で栄養補給 ©共同通信社

 平成最後の甲子園に、高校野球史に残る怪物が出現した。第91回選抜高校野球大会の初日(3月23日)、大阪の履正社を相手に17もの三振を奪って零封した星稜(石川)の右腕・奥川恭伸(やすのぶ)だ。

「えっ、17個ですか? 自分では三振の数をカウントしていません。(昨春、昨夏に続く)甲子園という大舞台で自分の力を出せたと思えるのは今日が初めてです」

 寒の戻りで冷え込んだ第3試合ながら、初回に自己最速を更新する151kmをマーク。得意球に挙げるスライダーに加え、フォークとチェンジアップという2種の落ちるボールを巧みに操り、昨秋、大阪桐蔭を破った履正社にわずか3安打しか許さなかった。

「ペース配分を考えながら、押すところは押して、引くところは引く大人の投球が少しはできた。これまではピンチで腕が振れないことがあったんですけど、今日は腹をくくって、ピンチでも逃げない姿勢、戦う姿勢を見せられた。球速アップは、冬場のウエイトトレーニング、体幹トレーニングの成果だと思います」

 翌日のスポーツ紙は田中将大と比較するスカウトのコメントが並んだ。対戦した打者が一様に「スライダーが消えた」と口にしていたのは、駒大苫小牧時代の田中とだぶる。