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「SNSにポルノ動画をアップロード」したらアウト? 日本最強の「風俗警察」と業者の攻防とは

『風俗警察』(角川新書)

2019/04/08

 インターネット上には、わいせつ動画があふれている。検索して専門の動画サイトを実際に見てみると、どぎつい性行為の場面や性器などがほぼ修正がない状態で公開されている。世の多くの男性なら、後ろめたい気持ちを抱えながらこうしたページを開こうとした経験を持っているかもしれない。また最近では詐欺につながるものもあるので細心の注意を払っている人も多いはずだ。このわいせつ動画、果たしてどこまでが違法なのだろうか。

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 結論から言えば、個人で成人のポルノ動画を見るのは罪に問われることはない。しかし、この動画をアップロードするなどして不特定多数が閲覧できる状態にしたとなると話は変わってくる。わかりやすい例で言えば「SNSにポルノ動画をアップロード」したらアウト。「風俗警察」が動き出し、刑法175条のわいせつ物公然頒布(はんぷ)罪・陳列罪に問われることになるのだ。

 風俗警察は全国の警察本部に置かれている「生活安全部保安課」の通称である。風俗営業の許可、賭博犯罪、売春や性風俗にまつわる犯罪、わいせつ物にかかわる犯罪を取り締まるセクションだ。

 職員4万6000人あまりの陣容を誇る日本最大の警察本部で、数十の繁華街を持つ東京都を管轄する警視庁では「生活安全部保安課」が風俗警察である。保安課は警視正の課長を筆頭に、「風俗保安対策官」と呼ばれる警視の理事官がいる。そして、現場を持たない調査担当管理官1人と担当業務ごとの4人の管理官(いずれも警視)が現場を統括。さらに各係には警部の係長がおり、捜査を指揮する。総員は250人で所轄署の生活安全課でキャリアを積んだ精鋭が集められている。昨今のインターネット空間での違法なわいせつ動画の氾濫に厳しい視線を注いでいるのが、日本最強の風俗警察部隊・警視庁保安課なのである。

海外のサーバーまで追跡し摘発

 警視庁保安課で、インターネット上の違法画像、動画などを監視しているのは「保安情報捜査係」である。保安情報捜査係には、IT技術に知悉した民間企業からの中途採用警察官、「特別捜査官」出身の捜査員が所属しており、ネット上の違法画像に関する捜査・追跡活動を一手に担っている。全国の風俗警察関係者の間で警視庁の保安情報捜査係が密かにクローズアップされた事件がかつてあった。

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 2017年1月。都内の繁華街の路上。派手な服装の年配の女を7人の捜査員が取り囲んだ。

「Bだな。警視庁保安課です。あなたには犯罪の嫌疑がかかっている。ご同行願いたい」