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2019/04/08

サイバー空間にも目を光らせる風俗警察

 風俗警察は、このP事件を最高裁の判例を踏襲して立件した。

 最高裁は刑法175条の「頒布」の意味を、ネットを通じて不特定多数の者のパソコンにわいせつ情報を記録させることだと解釈。被告人は客が配信サイトにアクセスし、ダウンロードの操作をすると自動的にダウンロードされるように設定したので、このような行為は「電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した」と言えると判断した。

 そして、日本の客のパソコンにわいせつ情報が保管されたため、「頒布」という犯罪行為の結果が日本で生じたことになり、「国内犯」として日本の刑法の適用は可能であると判断したのである。  

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 ただ、踏襲した最高裁判例では「電気通信の送信による頒布」とはいえ、客が常にダウンロードできる状態にしていることが「頒布」であり、客によるダウンロードという行為を含んで、被告人の「頒布行為」と指摘するのはおかしいという意見も出ている。

 風俗警察では、サイバー空間でのこうしたわいせつ動画事案を常に監視している。ネット上での違法な情報は一般ユーザーから「インターネット・ホットラインセンター」に通報される。その情報はセンターから警察当局に更に通報され事件捜査の端緒となる。センターは同時にプロバイダーに削除依頼を行うよう要請する。

 センターに通報された情報には海外のサーバーに蔵置されているものもある。風俗警察は自らの「サイバーパトロール」とインターネット・ホットラインセンターからの通報に対しては「全国協働捜査方式」を活用し、捜査の端緒情報を共有している。

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 全国協働捜査方式とは、センターから警察庁に通報された違法動画情報について効率的捜査を進めるため、情報の発信元を割り出すための初期捜査を警視庁が一元的に行って、捜査すべき都道府県警察を警察庁が調整する方式で、2011年7月から実施している。警察当局にとってインターネット・ホットラインセンターは捜査支援を行う頼もしい存在なのだ。