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2019/04/08

違法わいせつ動画は殲滅できるか

 風俗警察が厳しく指導した動画共有サイトがあった。アメリカのブログサービスである「タンブラー」は、ユーザー同士が投稿された画像を簡単に共有できるもので、若者を中心に人気を集めている。投稿された内容への規制は緩く、わいせつな画像・動画が集まりやすくなっていたのだ。

 去年12月。京都府警などは、タンブラー上に子どものわいせつ動画を投稿、転載した男らを逮捕している。安易な動画の拡散を戒める、風俗警察の狙いがそこにあった。タンブラーの運営会社は、事件後にアダルトコンテンツの投稿を禁止すると発表している。

©iStock.com

 風俗警察のサイバー空間での捜査には課題もある。昨今、データが外部サーバーに保存される「クラウドコンピューティング」が普及している。2011年に改正された刑事訴訟法では、押収したスマホやパソコンから通信回線でつながっているサーバーにアクセスし、データを複写して押収する「リモートアクセス」が認められた。

 しかしこのリモートアクセス、海外のサーバーは対象外。日本の裁判所の令状があっても、データを取得すればその国の主権を侵害するおそれがあり、相手国の協力を求めることが必要になる。やり方によっては「違法捜査」「外国の主権侵害」と指摘を受けかねない状態なのだ。

 動画投稿サイト「FC2」を巡るわいせつ動画事件で、2018年の大阪高裁判決では、海外へのリモートアクセスの一部をめぐり「運営会社側からの任意の承諾があったとは言えない」として、捜査の在り方に疑問を突き付けた。

 違法わいせつ動画を殲滅することができるのか。風俗警察と違法わいせつ動画業者の攻防は混沌としたインターネット空間で今現在も続いている。

風俗警察 (角川新書)

今井 良

KADOKAWA

2019年2月9日 発売

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