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60回目の結婚記念日 天皇皇后両陛下の「恋の歌」に見るご夫婦関係

じっくり読むと、秘められた思いが見えてくる

 4月10日、天皇皇后両陛下がご在位中最後となる結婚記念日を迎えられた。今年は昭和34年のご成婚から60年となる「ダイヤモンド婚」にあたる。

 お二人のご夫婦関係が端的に現れているのが、両陛下が数多く詠まれてきた和歌である。皇室では、天皇の歌を御製、皇后の歌を御歌と呼ぶ。

©文藝春秋

 平成の御代で詠まれた御製と御歌には多くの相聞歌、つまり恋の歌も含まれている。「文藝春秋」4月号では、毎年1月に行われる歌会始の詠進選者である歌人の永田和宏氏と、平成27年まで侍従長を務めた川島裕氏が、両陛下のお歌について対談をおこなった。

 永田氏は「お二人ほど多くの相聞歌を詠んだ天皇皇后はいないと思います」と語る。永田氏が相聞歌の例として挙げたのが、陛下が結婚50年の記念の年に詠まれた、

〈我が妹と過ごせし日々を顧みてうれしくも聞く祝典の曲〉

 である。これは、ご成婚の際に作曲家の團伊玖磨氏が作曲した祝典の曲を改めてお聞きになった際の感慨を詠まれたものだ。

永田和宏氏

永田 〈我が妹〉、つまり皇后さまと過ごしてきた日々を率直に喜んだ御製です。互いへの大きな信頼感に基づくこのご夫婦は、それ自体、象徴としての大きな意味のひとつだと思います。

 相聞歌は今年1月16日に行われた「平成最後の歌会始」でも披露された。

川島 今年の歌会始の御歌〈今しばし生きなむと思ふ寂光に園の薔薇のみな美しく〉も、今後、陛下と二人で過ごす人生の終盤を意識された相聞歌でしたね。

永田 これはとても切ない御歌です。退位すればプライベートな二人だけの時間が過ごせる。ただ、はっと気がつくと、自分たちにはもうそれほど多くの時間は残されていない。それでも〈生きなむと思ふ〉という表現が素晴らしい。二人の時間を心おきなく過ごしたいと願っておられることが伝わります。

川島裕氏

 むろん「相聞歌」以外にも、天皇皇后両陛下はさまざまな場所で、さまざまな和歌を詠まれてきた。災害の被災者に思いを寄せるもの、戦地にて慰霊のお気持ちを詠んだもの――。

川島 歌会始以外でも両陛下は数多くの場でお歌を詠まれてきました。これらを読むだけで、平成の御代で起こった出来事がよくわかりますし、象徴天皇とその皇后としてのお二人の事績もわかります。

永田 陛下は政治や経済に影響を与えるようなご発言は許されませんから、おことばを表明される際にも自ら慎重に言葉を選び規制されている。それを補完するのが歌なのです。お歌をじっくり読むと、その背後に秘められた思いが見えてくることがある。

 御製御歌は、両陛下がご自分を表現できる数少ない機会であり、貴重な資料というわけだ。

文藝春秋4月号

 「文藝春秋」4月号掲載の対談「両陛下『御製と御歌』真心の27選」では、永田氏と川島氏が平成の御代に詠まれた27首を厳選して、その魅力を解説している。

 激動の30年、国民に寄り添い続けた両陛下の深い思いを感じることができる。

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