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両手両足を縛られた女性……急増する「アポ電強盗」の手口と犯人グループの正体

 事件直後、犯行グループと思われる3人組を目撃した飲食店店主が証言する。

「黒色のパーカーと白マスクを身にまとった3人組が物凄い勢いで走ってきて、ワゴンRっぽい軽自動車の運転席と後部座席に乗り込んだのです。身のこなしは相当軽やか。若い男にしか見えませんでしたね」

 今年に入り連続して発生している「アポ電強盗」。その手口は凶悪化し、ついに殺人にまで発展した――。

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両手首、両足首を縛られた女性

 2月28日午後1時50分。江東区東陽のマンションの一室を訪れたケアマネージャーは、両手首、両足首を縛られた状態の加藤邦子さん(80)が、リビングの床上で仰向けに倒れているのを発見した。

6年前、歌劇の発表会での加藤さん

「ケアマネージャーは慌てて事務所に戻り、スタッフが110番通報しましたが、午後2時23分に死亡が確認された。加藤さんは約15年前に夫を亡くし、一人暮らしをしていました」(社会部記者)

 事件当日は友人が加藤さん宅を訪ね、午前10時半まで滞在していたという。

「司法解剖の結果、死因は窒息死と判明。深川署捜査本部がマンションの玄関に設置された防犯カメラを解析したところ、午前11時前後に不審者3人が1人ずつマンション内に入る様子が確認できた。滞在時間は約30分でした」(同前)

 加藤さんと親しかった洗足学園音楽大学名誉教授の捻金正雄氏が、故人を偲ぶ。

「加藤さんは私が十数年前から携わる歌唱グループの初期のメンバーでした。以前は新潟の病院で看護師をしており、常々『手術室で機材を準備する仕事をしていた。優秀な看護婦だったのよ』と話していた。社交ダンスと書道を嗜んでおり、オペレッタを彼女と踊ったことがありますが、堂々としていて上手でしたよ」

一方通行を逆走する所沢ナンバーの軽自動車

 犯行グループについて、捜査関係者が語る。

「周辺の防犯カメラには、一方通行をハイスピードで逆走する『所沢 7174』ナンバーのグレーの軽自動車が写っていました。この車両は、別の強盗事件の現場の防犯カメラにも写っています」

 遡ること約1カ月。2月1日朝8時40分、渋谷区笹塚の商店街で、不審な3人組がレンガ造りの豪邸の前に立ち、家の中の様子を窺っていた。男の1人がインターフォンを押し、家主にこう語りかけたという。

「警察の者なんですけど、家の前に猫の死骸があるので確認してもらえませんか」