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乳がん公表から1年 元SKE48矢方美紀が語る「妊娠できない人はかわいそう」への違和感

矢方美紀インタビュー #1

2019/04/25
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 乳がんの公表から1年。「#乳がんダイアリー」(NHK名古屋)などで治療のリアルな日常を発信してきた元SKE48の矢方美紀さん(26)。抗がん剤と放射線治療を終え、ホルモン療法を始めて半年。今だから話せる、これまでの治療の日々について聞きました(全2回の1回目、#2へ続く)。

矢方美紀さん

今までと変わらない自分の姿に戻れたのが一番うれしい

──金髪、お似合いですね。白いワンピースとのコーディネートも初夏らしくて素敵です。

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矢方 ありがとうございます。抗がん剤治療が終わり、最近はようやくウィッグなしで過ごすことも増えてきたので、ヘアカラーなどでアレンジを楽しんでいます。

 

──抗がん剤と放射線治療中は、肉体的にも精神的にも大変でしたよね。

矢方 そうですね。抗がん剤治療では、副作用による脱毛やむくみで、自分の外見が大きく変わってしまったのがすごいストレスでした。アピアランスサポートで外見のフォローや精神的ケアをしてもらい救われた部分もありましたが、やっぱり今までと変わらない自分の姿に戻れたのが一番うれしいです。

 でも、抗がん剤治療が終わってほっとする反面、もっと長く続ける方もいるので、ここで終わって再発しないか、本当にこの回数で大丈夫なのかと、不安に思う気持ちもあります。

──ホルモン療法が始まって半年経ちましたが、いかがですか。

矢方 目に見えるような症状が出ないのが大変だなと感じています。ホットフラッシュは抗がん剤治療中にもありましたけど、それが常に起こっているような感じで……。暑いと思った時にすぐに対応できるよう着脱しやすい服装を選んだり、冷たい飲み物を常備して、急に暑くなった時にそれを飲んで体を冷やしたりしていますが、寒い日に突然半袖になったり、冷たい飲み物を飲んだりすると、副作用を知らない方から「大丈夫? 寒くない?」と心配されたりして、どうやったら伝えられるだろうかと、困る時もあります。

 

──更年期の症状でもホットフラッシュで悩んでいる方は多くいます。

矢方 治療前に「ホルモン療法は、ホルモン依存性の乳がんの増殖を促すエストロゲンが働かないようにする治療法なので、更年期障害と同じ症状が出る方もいます」ということを教えてもらいました。個人差があるので、SNSや同じ乳がんの方のコミュニティなどで同じ症状で悩んでいると知り、「自分だけじゃないんだな」と安心することはあります。

──ホットフラッシュ以外にも不安や悩みはありますか。

矢方 抗がん剤治療は副作用による外見の変化が大きいのがストレスで、放射線治療は毎日通院しないといけないのがストレスでした。それに比べると、ホルモン療法は通院も3カ月に1回の注射だけで、あとは毎日1錠の飲み薬だけなので、気分的にはラクです。でも、突然起こるホットフラッシュや、私の場合は生理が来ないなど、受け入れにくい体の変化もあって、あと10年は治療が続くのかと考えると、時々心が折れそうになります。