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連載近田春夫の考えるヒット

「夜があんまり似合わない」 EXILE一家の軌道修正を考えてみた――近田春夫の考えるヒット

2019/05/08

『Flying Fish』(FANTASTICS from EXILE TRIBE)/『君を待ってる』(King & Prince)

絵=安斎肇

 EXILE一家がここまで堂々ジャニーズ帝国と渡り合えるほどの勢力になろうとは、デビューの頃には誰も夢にも思わなかったのでは? 今となってみればその背景、そして彼らを成功へと導いてみせた要因等についての解析など、散々出回っているのに違いないからあえて書かぬが、なんにせよ“群舞プラス歌”のフォーメーションでパフォーマンスする男の子のグループを“多チーム”擁するということで、初めてジャニーズと棲み分けてみせたのが“EXILEのtribe”、すなわちLDHであることに、異論はあるまい。

 かつてジャニーズの対抗馬というと、亜流といっては失礼かもしれないが、本家を踏襲して――“お稚児趣味”にも叶うぐらいの――愛らしさを売りにする子供たちを集めたものが殆どで、ただ、そうして、いくら歌が、踊りが、技術職的に優れていようと、ポイントはそこではない。天才ジャニーさんのお眼鏡にかなった、特殊なフェロモンの持ち主たちとは何かが違う、結局太刀打ち出来ぬ! という苦汁をイヤというほど舐めさせられた“芸能事務所業界筋の方”も、過去には結構いたような気もするのだが……。

Flying Fish/FANTASTICS from EXILE TRIBE(AVEX)デビューしたなかで、もっともフレッシュなLDHグループのセカンドシングル。

 EXILE系は、述べた意味での“中性性”を演者たちに求めぬ、その“ストレート感”にプラスすることもうひとつ“ストリート感”という、こちらもジャニーズ系にはない“売り”もあって、それらを上手く融合させた――音も含む――ブランディングが功を奏したのだろう。以前は甘く柔らかな美少年ばかりに金を使ってきた(笑)女性客の層にとっても、その硬質な“打出し”は新鮮だった筈だ。

 編成だけをみれば、両者に共通性のないわけでもないとは思うが、それぞれに美学は、俗にいう“かぶる”ことのない、独自なものだったのだ。

 そうした前段を踏んまえ、最近のLDHの動向を眺めたとき、そこには戦略上の軌道修正を感じないわけでもない。

 FANTASTICS from EXILE TRIBEの『Flying Fish』にしろ、楽曲は勿論、衣装から表情から、やたらと優しげで、何よりいえるのは“夜があんまり似合わない”ことである。

 その意味するところを私なりに考えてみたのだが、そもそもがクラブシーンの存在が結成と密接に結びついていた出自からして、どこか不良とかヤバいとかいった匂い――たとい演出だったにしてもだ――と無縁ではなかった彼等一族とはいえ、もはや世間がそうした“ダークなダンディズム”を尊ばなくなってきている風潮の前には屈せざるを得ぬものがあったのかどうか、そこまでは俺にもわからないが、若者たちが“夜遊び”からどんどん足を洗っていっているという現実が、LDHの方針に影響を与えたことも、なかったわけではないだろう。いまや真夜中が「オワコン」なのは、最近のコンビニ営業時間騒動でも証明されたしね。

君を待ってる/King & Prince(UNIVERSAL)デビューしたジャニーズのなかで最若手、「キンプリ」のシングル3枚目。

 King & Prince。

 なんだか歌詞が“らしくない”と思ったら、高橋優だったんだぁ。案外面白いかも?

今週のテレショッピング「昔からテレビ通販をよく見ているんだけどさ、最近油を使わずに揚げ物をつくれる機械ってあるじゃん。ずっと見ていて、あれトンカツとか唐揚げは番組で紹介してるけど、天ぷらとかドーナツって見ないよね。つくれるのかな」と近田春夫氏。「オレ山菜の天ぷらが食べたいんだけど、その辺どうなっているのか、教えて文春さん!」

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

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出典元

皇太子が漏らされた秋篠宮さまへの憂慮 「抗不安薬」「千鳥足」

2019年4月25日号

2019年4月18日 発売

定価420円(税込)