昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2019/04/28

ごくふつうの女の子が一夜明ければ世界のセレブになる可能性

「若さ」の魅力は、YouTube、インスタ、TikTokなどのSNSによって近年急激に膨張している。「40億人のマーケット」はもはやたんなる比喩ではなく、ごくふつうの女の子が一夜明ければ世界のセレブになっていることも夢物語ではなくなった(すくなくともその可能性はある)。

 こうして、かぎられた期間に自分のエロス資本を最大限に活用しようとする若い女性が世界じゅうで大量に登場した。その目的は経済的な利益(パパ活やギャラ飲み)かもしれないし、有名になって自己実現すること(地下アイドルやユーチューバー)かもしれないが、世の中を驚かす奇妙な現象の数々は、エロス資本が特定の年齢層の女性に集中していることから経済学的に(ほぼ)説明できるだろう。

©iStock.com

 こうした主張を「差別的」と感じるひとがいるかもしれない。だがその場合は、「証拠」にもとづいて、より説得力のある解釈を示さなければならない。「いくつになっても若い女のケツを追い回す男はけしからん」と怒っても(気持ちはわかるが)現実は変わらない。

 それと、これは強調しておかなくてはならないが、現代社会にはエロス資本しか持っていない若い女性が(かなりたくさん)いる。そんな彼女たちに「愛は無償であるべきだ(エロスを男にタダで提供しろ)」との道徳を強要するのは「搾取」以外のなにものでもない(奇妙なことに、男性優越主義者だけでなく、一部のフェミニストもこういう主張をする)。アダルトビデオや風俗業を違法にするのは、エロス資本に依存するしかない女性たちから生きる方途を奪う「虐待」だ。

現代日本では大卒の若い女性の幸福度がもっとも高い

 周知のように、社会的な性差を示すジェンダーギャップ指数で日本は110位と世界最底辺に低迷している。しかしそれにもかかわらず、さまざまな調査で若い女性の幸福度は同世代の男性よりずっと高い。とりわけ大卒の若い女性は、日本社会の主流派を形成する「おっさん(壮年大卒男性)」を抑えて、現代日本でもっとも幸福度(ポジティブ感情)が高い。

 これを保守派は、「男が外で働き、女は家で子育てに専念する」性役割分業が日本女性を幸福にしているのだと解釈するだろうが、これには証拠がない。共働きが当たり前の北欧でも、女性の幸福度が下がっているわけではないからだ。

 このパラドクスも、若い女性がとてつもなく大きなエロティックキャピタルを持っていることで説明できるだろう。大きな金融資本(ゆたかさ)が幸福な人生につながるように、大きなエロス資本によって注目(あるいは金銭的な報酬)を得られることが幸福度を上げるのだ(たぶん)。