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「48歳で会社を辞める」時代がやってきた  NEC、富士通…大企業で相次ぐ早期退職者募集

人生を「前半戦」と「後半戦」に分けよう

2019/05/07

 春うらら。GWも明け、4月には緊張した面持ちだった新入社員も、少しずつ新生活に慣れてくる頃だろうか。

 いっぽうで、3月末に退社したはずのおじさんたちが、気まずそうな顔をして席に着く光景が見られるかもしれない。「退社したはずのおじさん」というのは、4月以降はいったん退職して役職を奪われたのちに「ヒラ社員」として勤務を続ける社員のことである。多くの会社で雇用制度が変わり、60歳をすぎた社員に対しても雇用義務が発生したため、近頃そんなおじさん社員が大量に発生しているのだ。

これからのサラリーマンはどうやって生き延びたらいいのか

 年金の支給が、夏の道路に現れる「逃げ水」のように後ろ送りにされ、支給額も減額される時代、サラリーマンはこれまでのように60歳定年で老後は悠々自適に過ごすなどというお花畑な人生は用意されなくなっている。なんとか会社にしがみつく日々を過ごすことを余儀なくされているのだ。

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 それが嫌であれば、会社の門を出て、新たに職を見つけるか、自ら起業しなければならない。だが学校を出てずっと同じ会社に滅私奉公してきた多くのサラリーマンは籠から出た小鳥。これまでの鳥籠ならば、あまり自由がなかったかわりに毎月25日になれば餌箱に新たな餌が与えられ、腹をすかせて飢え死にすることはなかった。ところが籠から飛び立ってもどこにも餌箱はない。新たな籠を見つけたとしても餌箱に注がれる餌の量はびっくりするくらいに少ないし、起業でもしようものならあっという間に飢え死にするか、鳶や鷹に襲われるリスクに晒される。

 多くのサラリーマンの選択肢はしかたなく、会社にしがみつくこととなる。これまで仕事でこき使ってきた部下にかしずく。部下になれればまだまし。ほったらかしにされて一日中タコ部屋で無為な時間を過ごすことを余儀なくされるおじさんも多い。これでは生産性など上がろうはずもない。

 以前は60歳定年制には意味があった。日本人の寿命は1970年では男性で69歳、女性で75歳だった。会社を退職して10年もたたないうちに亡くなるから定年後を考える意味はあまりなかった。ところが、現在平均寿命は男性81歳、女性87歳。人生80年時代と呼ばれる所以だ。そしてこの間自分たちの生活を支えるはずの年金制度は、もはや誰の目から見ても破綻の危機にある。