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「五月病」は本当は”六月病”かも 大型連休を終えても油断できないその正体とは?

連休を終え、梅雨を迎えるこれからが最も危ない季節です

2019/05/11
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 学校や企業のフレッシュマンが、入学・入社から1カ月が過ぎたところでの大型連休――。心身に溜った疲労と不規則な日程が重なって体調を乱すのが「五月病」だ。

“ブルーマンデー・シンドローム(サザエさん症候群)”の新緑特大号のようなこの病態に苦しむ新人が、あなたの周囲にもいるかもしれないし、あなた自身が苦しんでいる当人なのかもしれない。放置すると最悪の場合「自殺」の危険性もあるというこの五月病について、原因と対策をメンタルヘルスの専門医に解説してもらう。

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「季節の変わり目には気を付けろ」は事実?

 頭痛やめまい、腹痛や睡眠障害など、身体的、精神的に様々な症状を引き起こす五月病。特に今年は10連休という例年にない大型の休みを挟んだこともあり、つらい不定愁訴に苦しむ新人が多いのではないだろうか。

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「“五月病”というのは正式な病名ではなく、医学的には自律神経失調症と適応障害にまたがって分類される病態のこと」

山本晴義医師

と語るのは、横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長で心療内科医の山本晴義医師。まずは発症の仕組みを解説してもらった。

「五月病を説明する前に、人間の体と季節の関係を理解しておく必要があります。季節には春夏秋冬の4つがありますが、本来人間の体は夏と冬の2つのシーズンにのみ対応するようにできています。つまり、体にとっての春と秋は、冬から夏へ、夏から冬への移行期に過ぎないのです。人体の機構はこの時、季節の変化に順応するための様々な対応で忙しくなります。自律神経が乱れがちになり、体調を崩しやすくなる。昔から“季節の変わり目は要注意”といわれるのもこのためです」