昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

丸山茂樹プロが語る「タイガー・ウッズはなぜどん底から“奇跡の復活”を実現できたのか」

性依存症の治療、4度の手術を乗り越えて

 5月16日からゴルフの海外メジャー第2戦「全米プロ選手権」(ニューヨーク州・ベスページブラック)が開催される。注目はなんといっても4月のメジャー第1戦「マスターズ」を14年ぶりに制し、「奇跡の復活」を果たしたタイガー・ウッズだろう。

「文藝春秋」6月号では、2000年から8年間、米国PGAツアーに参戦し、最盛期のタイガーと戦い、今も親交があるプロゴルファーの丸山茂樹氏が、タイガー復活の理由と今後の展望について語っている。

「タイガーが次に出場するメジャー大会は5月16日からの全米プロ、その次は6月の全米オープンです。全米プロの舞台のベスページ・ステートパークは02年に、全米オープンのぺブルビーチは00年にいずれも全米オープンで制したコースでタイガーは熟知している。必ず何かやってくれるはずです。ここでまた活躍するといよいよ彼の復活は本物だし、ジャック・ニクラスのメジャー最多勝利記録(18勝)の更新も視野に入ってきます。

 どん底を経験して新たな境地に達したタイガーの真骨頂をリアルタイムで経験できるというのはこのうえもなく幸せなことだと思います」

タイガーウッズについて語る丸山茂樹 ©文藝春秋

 こう期待感をあらわにする丸山氏だが、確かに過去10年、天才ゴルファー、タイガー・ウッズが歩んできたのは「どん底の道のり」だった。

 1996年に20歳でプロに転向して以来数々の記録を塗り替え、世界ランク1位が定位置に。「ウッズ1強」の時代を長く築いたものの、09年の交通事故を機に浮気相手が次々浮上。性依存症の治療とプロ活動自粛に追い込まれた。

 復帰後もゴルファーにとって致命的な腰痛に苦しみ、4度の手術を余儀なくされた。17年には投薬の影響で職務質問中に呂律が回らなくなり、運転マナー違反で逮捕。世界ランキングは1199位にまで落ち込んだのだ。

「タイガーの本当にすごいところはそれでもカムバックを諦めずに、ひたすら努力し続けてきたことです。

 タイガークラスの選手であれば仮に引退しても生活に困ることはない。金銭的に余裕がないのなら、何がなんでも復活してお金を稼がなければというモチベーションもでてくるでしょうが、彼の場合はお金は三生分ぐらい十分稼いでいる」

©getty

「どん底」からわずか1年半でのマスターズ勝利に、世界中が沸いた。

 5月6日、ホワイトハウスでトランプ大統領から米国民の最高栄誉のひとつ「大統領自由勲章」を贈られたウッズ。

「どんなスポーツでも見たことがない。素晴らしいカムバックと彼の人生におめでとうと言いたい」

 こう称賛したトランプ大統領と堅い握手を交わしたウッズが見つめる先に、次のメジャータイトルと帝王ジャック・ニクラスの最多勝利記録18勝の更新(ウッズは現在15勝)が映っているのは間違いないだろう。

「年齢を重ね、苦労を乗り越え、レジェンドの風格を漂わせるニュータイガーが誕生した」

文藝春秋6月号

 と断言する丸山氏は、復活に向けてタイガーのモチベーションを支えた3つの要因を、「文藝春秋」6月号掲載の「タイガーは自分に向き合う天才だ」で明かしている。

 丸山氏の分析からは、「奇跡の復活」がいかに「必然」だったかがわかるだろう。

 全米プロ選手権でどんなゴルフを見せるのか。生まれ変わった「ニュータイガー」から目が離せない。