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これを残業と呼ぶのかどうか

 丹羽氏の若手時代は、残業時間の上限を気にすることなく、自ら納得のいくまで仕事に取り組むことができたという。

丹羽 「入社7年目にニューヨークに赴任し、日本のほかにドイツやオランダなどヨーロッパ各国に大豆を輸出する仕事をしていました。当時の駐在員は、机の中にウイスキーを忍ばせていたものです。深夜になってアメリカ人の社員が帰って日本人だけになると、おもむろにウイスキーを取り出す。オフィスには氷もなにもありません。ストレートでグイッと飲みながら、『明日はヨーロッパにこの数字を出して交渉しようや』と打ち合わせをするのです。これを残業と呼ぶのかどうか。決まった給料で残業代は無かったし、計算のしようもありませんでした。ただそこには思う存分働ける環境がありました」

賃金格差が拡大する

過労死を防ぐのは「上司のケア」

 働き方改革の必要性が盛んに叫ばれるようになった背景にあるのが、電通やNHKで起こった過労自殺や過労死の事件である。

丹羽 「特定の企業に起こった過労死という問題を、長時間労働に原因を求めてルール作りをしてしまうと道を誤る。というのも過労死の原因には、往々にして上司と部下の関係があるからです。つまり、過労死を防ぐために最も重要なのは、直属の上司によるケア。

 一人だけ夜遅くまで残業する部下がいたら、上司が『君、大丈夫か?』と気遣ってあげないといけない。『大丈夫です』と言われても、どう見ても無理をしているようであれば、『いや、それにしても顔色が悪いから今日は帰りなさい』と言ってあげることが大事です。

『○時間以上は残業禁止』と法律で線引きをするより、上司が個人の体調や働き方を見守ってマネジメントする方がよほど過労死の防止につながると思います」

文藝春秋6月号

 丹羽氏は、「文藝春秋」6月号に寄稿した「『働き方改革』が日本をダメにする」で、働き方改革関連法の問題点を指摘。日本人の「働き方」改善のための具体的提言もおこなっている。

「仕事をマイナス面ばかりから考えるのは間違いです。仕事は何よりも人に生きる喜びをもたらしてくれる」――丹羽氏からのメッセージである。

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