昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載THIS WEEK

反エリートの“英国のトランプ”がイギリスで人気を集める理由

2019/05/29

 5月23日から投票が始まった欧州議会選。メイ首相の保守党を尻目に、EUから離脱できないことに憤る有権者の支持を集めたのが、英国の新党「ブレグジット党」だ。その原動力が、ナイジェル・ファラージ党首(55)である。

4月にブレグジット党を結成したファラージ氏 ©共同通信社

 大衆酒場で昼間からパイント(568ml)グラスの生ぬるいエールを飲み、煙草を燻らす“パブの男”。赤ら顔で歯を見せガハハと笑って本音をぶつけるのがファラージ氏の選挙スタイルだ。

 ファンロンパイ前EU大統領を「ボロ雑巾のカリスマ」「コワッパ銀行員」と罵ったかと思えば、「HIV保有者の移民を規制しよう。治療に英国の国営医療サービスを使っている」と移民への恐怖心を焚き付けた。だが、ファラージ人気は彼の言葉が高齢者や労働者階級、失業者、数は少ないものの、トレーダーや起業家の本音だからだろう。

 典型的な英国のアッパーミドルの家庭に生まれたファラージ氏。5歳の時、アルコール中毒だった株式仲買人の父が家を出て行く。それでも私立男子校でクリケット、ラグビー、さらには政治討論に夢中になり、18歳で金融街シティーの商品市場に飛び込む。天性の雄弁と人心掌握術でアッという間にトレーダー仲間と顧客の人気者になった。