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 冒頭のシーンに戻ろう。改札で岩本容疑者に切り付けられた男性は、血だらけになりながら100メートルほど走り、在来線改札口横にある商業施設へ助けを求めて逃げ込んだ。

「男性は証券会社から独立して都内で会社を経営している。短髪で筋肉質なスポーツマンタイプ。顔は血で真っ赤だったそうです」(地元紙記者)

 商業施設は観光客や買い物客でごった返していた。そこに警備員の「捕まえてくれ!」といった声が響き渡った。目撃した客が振り返る。

「18時前だったと思います。商業施設の出入口近くの休憩スペースに座っていると、警備員の緊迫した声が聞こえたので周囲を見渡しました。すると、黒いTシャツ姿の男性が小走りで店内に駆け込んできた。続いてオレンジのカーディンガンにミニスカートの女、その後を警備員が追いかけていました。男は反時計回りで店内を逃げ回り、それを女がカッターナイフを手に追いかけ回していた」

警備員らに取り押さえられた岩本容疑者をとらえた連続写真 ©文藝春秋

 わずか5分後、女性は警備員とJR職員に取り押さえられた。

「確保された直後、女は片腕を警備員に、もう片腕をJR職員に掴まれて床に座り込みました。JR職員が『カッターを離せ!』と女から刃物を取り上げると、少し身をよじったきり、うなだれていました。大声を出したり、泣き喚いたりすることはありませんでした」(同前)

警備員らに取り押さえられた岩本容疑者をとらえた連続写真 ©文藝春秋
警備員らに取り押さえられた岩本容疑者をとらえた連続写真 ©文藝春秋

 被害に遭った男性は少し離れたベンチに座り、茫然としていた。

「顔から血が滴り落ち、床には血だまりが出来ていた。女性が確保されると男性は安堵したようでした。土産物売場の店員がタオルを持って来て、止血や手当をしていました」(同前)

手当てを受ける被害男性。床には血痕が ©文藝春秋 

 警察が現場に到着したのは18時20分頃。現場に居合わせた客は、岩本容疑者の“ある行動”が今でも忘れられないという。

「確保された女性は警察官に両腕を掴まれていましたが、ぐったりと疲れ果てた様子でした。ただ、連行される直前、女はなぜか周囲の客に対して一礼したのです。そのあと、無言で連行されていきました」(同前)

 岩本容疑者は静岡県警熱海署に傷害の容疑で逮捕された。

 被害男性が経営する会社に取材を申し込んだが、「何も関係ありません」と回答。

 取材班は鳥取県にある岩本容疑者の実家を尋ねた。インターフォンを鳴らすと、玄関から母親と思しき女性が顔を出したが、「週刊文春です」と告げると、無言のまま、大きな音を立ててドアを閉め、取材に応じることはなかった。

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