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パ・リーグファンのみなさまへ 神宮球場「選手プロデュース弁当」の傾向と対策

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/06/07

パ・リーグファンのみなさま、神宮球場へようこそ!

 交流戦が始まった。日頃対戦することのないチームと戦い、めったに見ることのできない投手と打者との夢の対決に胸躍らせる季節。昨年、まさかの「勝率1位」に輝いたヤクルトとしては、今年もここで勢いをつけたいところだ。交流戦の楽しみの一つとして、普段は行かない球場を訪れる喜びがある。今日から始まるオリックス・バファローズとの3連戦。多くのバファローズファンが神宮球場を訪れることだろう。ぜひ、チームを応援するとともに、都心のど真ん中にある、屋根のない神宮球場の魅力を体感してほしいと切に思う。

 そして、各球場それぞれが趣向を凝らした「球場グルメ」も球場観戦の魅力の一つだろう。神宮球場の各コンコースには「2019年も神宮球場のグルメが熱い!!」と銘打たれた全32ページの小冊子『神宮球場グルメ』が置いてあり、グルメマップや新店舗紹介、球場弁当一覧などが詳細に紹介されているので、バファローズファンの方にはぜひ参考にしてほしい。

 さて、今季の交流戦では今回のオリックス戦の他に、18日からは福岡ソフトバンクホークスと、21日からは千葉ロッテマリーンズとの3連戦が神宮で行われる。そこで、「少しでもオリックス、ソフトバンク、ロッテファンの方々の参考になれば」との思いを込めて、現在、神宮球場で販売されている「選手プロデュース弁当」について、実際に食してみた率直な感想をリポートしたいと思う。ということで、今回のコラムのために、4月、5月とひたすら「選手弁当」を食べ続けた。今回の原稿では、ぜひその成果を披露したいと思う。

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神宮球場で販売されている「選手プロデュース弁当」をご紹介

「1観戦2弁当」で学んだ、「選手プロデュース弁当」の傾向と対策

 僕はかつて、『このパ・リーグ球団の「野球以外」がすごい!』(集英社)という本を出版した。この本は不思議な経緯で誕生した一冊で、12球団すべてのファンクラブに入会し、「この球団のこのサービスはいい」「あの球団のこの特典はショボい」と好き勝手に書いていたら、パ・リーグ6球団の担当者の目に留まり、「そのノリでパ・リーグ6球団の問題点や課題を指摘してほしい」と依頼されたのだ。さらに、彼らは「ノー忖度で、遠慮はいりません!」と力強く言うので、僕はこの依頼を受けることとした。

 しかし、取材は過酷だった。2015(平成27)年6月から10月の日本シリーズにかけて、札幌、仙台、千葉、埼玉、大阪、福岡を何度も飛び回り、5カ月の間に54試合を観戦、観戦時間は約189時間。球場で呑んだ生ビールは全部で164杯。約82,000mlを胃袋に流し込んだ。この本では「ボブルヘッド似てない問題」とか、「チアリーダーおもてなし度比較」とか、「場内演出盛り上がり具合」とか、「福袋の中身比較」「球場トイレのメーカー比較」など、さまざまな項目で好き勝手な分析を試みたのだが、もちろん、「選手プロデュース弁当」も、「1観戦2弁当」を自らに課して比較原稿を書いた。もともと小食で、中性脂肪値が高すぎる中年男性には過酷な試みではあったけれど、1試合につき2つの弁当を食べ続けた結果、いくつかわかったことがある。

 基本は「肉メイン」であること。さらに、「ハイカロリー・ハイ塩分」であること。言うまでもなく、プロ野球選手は体育会系の人たちばかり。厳しい練習で腹も減るだろう。大量に汗をかくことで塩分を欲することだろう。そこで、肉と塩のオンパレードとなるのだ。さらに驚いたのが、ご飯とスパゲティのコンボなど「炭水化物の波状攻撃」もしばしば断行されることだ。日本ハム・中田翔にいたっては、『翔のスラッガーカレー』と題して、カレーライスの中に、自身の背番号と同じ6個のたこ焼きを投入。「中田は一体、何を考えているのだ?」と、半ば憤りを覚えながら完食したことを、今でもありありと覚えている(笑)。

 さて、調査の結果、選手プロデュース弁当には、以下の4パターンがあることがわかった。

1.選手の大好物系
2.選手出身地のご当地系
3.選手の名前のダジャレ系
4.よくわからない系

 これは、パ・リーグ各球団の調査で得た結果だけれど、今年のヤクルトの選手プロデュース弁当においても、同様の結果であることがわかった。リーグを問わず、考えることはみんな同じなのだ。さて、能書きが長くなってしまったけれど、具体的に神宮球場で販売されている「選手弁当」をご紹介することにしよう。

「選手プロデュース弁当」の売店
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