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“マルチタスク”が求められる場所が危ない

(4)高齢ドライバーが事故を起こしやすいスポットはどこ?(76・男)

 高齢者に特に多く見られるのは(1)一時停止、(2)交差点の右左折、(3)駐車場だ。

 北豊島園自動車学校の高齢者講習担当者が明かす。

「70歳の場合、20歳の免許取得から約50年経っています。その間に一時停止線を越えて車体を前に出すような“自己流運転”が染み付いているのです」

 だが、年齢を重ねるにつれ、リスクは増す。高齢者の運転に詳しい慶應義塾大学医学部の三村將教授が補足する。

「高齢者になると、対向車や歩行者に気付くという認知機能の低下に加え、運動機能も低下し、『ブレーキを踏もう』と思ってから実際にブレーキを踏むという行動に至るまでの時間が長くかかってしまう。信号がなくても、一時停止線では必ず停まるべきです

一時停止は要注意スポット

 さらに高齢者にとって“鬼門”なのが交差点の右左折だ。信号、対向車、横断歩道と様々な注意を同時に払わなくてはいけない。

 高齢ドライバーの事故分析を行う東京海上日動リスクコンサルティングの北村憲康主席研究員が指摘する。

「右折時、交差点中心付近を通らず、小さく速く曲がるショートカット運転は危険です。ショートカットは右折時間を短くし、その分確認する時間を奪ってしまう。危険の見落としに直結します。左折では直前の減速がポイント。減速して後方巻込み、前方危険を見るのと、減速不十分で同じことをするのとでは確認の精度に大きな差が出ます」

 最近目に付く“新型車両”にも要警戒だ。

「電動自転車です。ママチャリに慣れた高齢者からすると、予測以上の速さで迫ってくる」(NPO法人高齢者安全運転支援研究会の平塚雅之事務局長)

 交差点に比べて簡単に見える駐車場も、バックミラーを確認した上でのペダル操作という“マルチタスク”が求められるスポット。

「駐車場のバックでは、バックギアに入れる前の確認とバック完了前の一旦停止がポイント。最初と最後の確認で多くのバック事故が防げます。また、前向き駐車はバック発進になり確認の負担が大きくなり危険です。さらにバック時の切り返しは嫌がらず何度でもOK。事故を起こさないことと運転がうまいことは別物です」(前出・北村氏)