昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2019/06/05

genre : ニュース, 社会

 夜になると、両陛下は同ホテルの最上階の部屋から提灯奉迎を受けられた。ホテル前の沿道や公園に集まった人たちは2000人と予想以上に集まったことから、急遽、近くの小学校の校庭も使うことになったという。

 集まった人たちは「右へ、左へ、上へ、下へ」といった拡声器の声に合わせて国旗などを振ると、両陛下も電気が消された暗い部屋の中から手に持たれた提灯を合わせて動かされる。

「天皇陛下万歳!」

「皇后陛下万歳!」

 闇夜の中、拡声器の声に合わせて、集まった人たちが万歳を繰り返していた。

 両陛下の姿をひと目見ようと、夜の9時を過ぎても人々の姿がなくなることはなかった。

©共同通信社

 陛下は提灯奉迎のご感想を「皆さんの灯がとてもきれいでした。どうもありがとう」と後に述べられた。

天皇陛下のお言葉を見つめる雅子さまのまなざし

 翌日は、名古屋市から尾張旭市森林公園に移動されて、「第七十回全国植樹祭」の式典にご臨席された。「植樹祭」は両陛下がお務めになる四大行幸啓の一つで、陛下で三代にわたり引き継がれた重要な公務。式典では、上皇陛下がご負担の軽減から省略された「お言葉」を11年ぶりに陛下が復活され、「健全な森を次世代のために造っていくことは、私たちに課せられた大切な使命であると考えます」と述べられた。

 そのお姿を、淡い緑色のスーツに身を包み横に座っていた雅子皇后が、尊敬のまなざしでずっと見上げられていたのが印象的だった。

©JMPA
「お言葉」を終え、微笑みあう両陛下 ©JMPA 

 式典後、陛下は花粉が少ない品種のスギやクスノキ、皇后はヒトツバタゴ、シデコブシなど計6種類の苗木をクワで丁寧に植えられて、ヒノキなど計4種類の種を“お手まき”された。両陛下は、式典に関わった「みどりの少年団」の子どもたちから苗木を受け取る際にも話しかけるなど対話が多くみられた。

 会場から出てきた両陛下を迎えたのは、沿道に隙間もないほどの多くの人たちだった。

 朝から会場入りされるのを見届けて、帰りも待ち続けるという歓迎ぶりで、中には体調を崩す人までいた。愛知県警の警察官も水分補給を促し飽きさせないようにDJポリスさながら沿道の人たちを会話で楽しませる光景も見られた。実にあたたかな良い空間だった。

“令和流”の公務のテーマとは

 最後の訪問先の「愛知県三河青い鳥医療療育センター」(岡崎市)では、入院する子どもたちの塗り絵などの様子を視察された。陛下は「きれいにできましたね」と声を掛けられ、皇后も「とても上手ですね」と微笑まれていた。 

 時には、子どもたちと手を合わせながら触れ合われるなど、自然な対話が見られた。

 車椅子でダンスをしていた男性には、側に寄られて「随分と練習されたんですね。お身体を大切になさってね」と気遣われた。

 この地方公務では、陛下の公務のテーマでもある環境問題に関わる植樹祭や皇后がご関心の高い福祉に繋がる医療療育センターへご訪問をすることができた。両陛下はこれからも対話を大切になさりながら、ゆっくりと歩まれていかれることだろう。