昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載すごいアート

絵画? 陶芸? ジャンルの枠みを超えた北欧作家の世界観

『ルート・ブリュック 蝶の軌跡』――すごいアート

2019/06/07

 絵画なのか、工芸なのか、フィンランドを代表するセラミック・アーティスト、ルート・ブリュックの作品は、絵や陶芸という枠組みを超えた独自の魅力を放っている。

 彼女は日本でも人気の高い名窯「アラビア社」に約五十年在籍した。元々グラフィックデザイナー志望のブリュックは、陶板に果物や花の絵などを優しく純朴に描き出す。その子供のような画風は見る者の心を柔らかく包み込む。

 会場の中でとりわけ目を引くのが、「鋳込み成形」という技法で作られた、教会や家などを形どった立体的な作品である。陶器としてのボリューム感とそこに施された絵が響き合い、絵画でも彫刻でもない存在感を放っている。

 明瞭な色彩に輝く釉薬。絵を見ながらも陶器の温かな物質感を受け止め安堵する。日本初の大回顧展というこの機会に、ちょっと他にはないブリュックの幻想的な世界に触れてみたい。

INFORMATION

『ルート・ブリュック 蝶の軌跡』
~6月16日 東京ステーションギャラリー TEL 03-3212-2485
https://rutbryk.jp/