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鹿のペニス、スズメバチの子……あらゆる「精力剤」は信用できるのか?――ヒトは何歳までセックスできるのか?

性交を成功させる「ゴールデンタイム」

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 厚生労働省が2017年に発表した統計によると、日本人の平均寿命は男性「81.09歳」、女性「89.26歳」と、過去最高を更新し続けている。「人生100年時代」と言われるなか、「QOL(生活の質)」の向上は、現代人にとってますます重要な課題となっている。中でも性生活は、人間らしい暮らしを送る上で避けて通れないテーマだろう。人は何歳までセックスできるのか――かつて「週刊文春」で話題を呼んだ本企画は、これからを生きる現代人にとっても示唆に富む。あらためてここに公開する。

※「週刊文春」2012年7月26日号より転載。記事中の年齢や日付、肩書き等は掲載時のものです。

「一回で命中しました」決め手は鹿のペニス漢方薬

 お笑い芸人の山田花子が、6月29日、長男を出産した。山田は37歳、夫でトランペット奏者の福島正紀氏は41歳の高齢出産である。

 意外なのは、福島氏が報道陣に明かしたことだ。

「一回で命中しました」

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 本来、人間の卵子と精子は、35歳を境に質や機能がガクンと劣化する。妊娠するのは困難となり、晩婚化した日本では、不妊治療を受ける夫婦が世界でもっとも多い。しかも山田は、「回数が少ない」と、淡泊な夫との性生活をギャグにして半ば嘆いていた。

 そこで、山田花子は秘策を練ったのだという。

 台湾にロケで出かけた際、彼女は鹿のペニスが入った漢方薬を買った。中国や台湾の漢方薬局に行けば、ガラスケースに陳列された萎びた棍棒のような不思議な物体を見かけることがある。高額な値札のついたその物体が、鹿のペニスだ。古代中国から強精作用があると言われている。

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 この成分が入った漢方薬を、毎朝、彼女はこっそり夫のコーヒーに混ぜていた。1カ月間、密かに夫に飲ませ続け、排卵日に決行したのだという。

 だが、決め手は本当に鹿だけだったのだろうか。

妻からの「今日は排卵日だから」が勃起不全を引き起こす

「排卵日は入らん日」

 そんなダジャレを教えてくれたのは、大阪の泌尿器科医である。今、多くの泌尿器科医が指摘するのが、排卵日に夫たちが「膣内射精障害」、つまり性交中にEDになるという症状だ。

 医師が夫婦別々に話を聞くと、実は2日に一度の割合でマスターベーションをしていると告白する夫は多い。ところが、早く子供を作らなければという年齢的なプレッシャーと、朝出勤する時に妻から「今日は排卵日だから」と言われるストレスから、妻に対して精力減退になるというのだ。

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 男がそんなにナイーブなわけがない、と奥さんたちは憤慨するかもしれないが、興味深い事実がある。漢方の専門家で、日本中医薬研究会の山岡聡文元会長はこう言う。

「最近の調査では、日本人の40代の精子量は、50代や60代より少なくなっています。原因は、基本的にストレスです」

 前章(日本男児肉食化の鍵を検証する)では、ストレスがテストステロン(男性ホルモンの一種)を下げるという帝京大学の研究結果を紹介した。ストレスで性欲が落ち、精子まで減る。40代は辛い年代である。