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連載「イラク水滸伝」外伝

イラク・イラン国境地帯の巨大な湖は、水鳥と密輸組織の「本拠地」だった

「イラク水滸伝」外伝――第4回:イラン国境の東部湿地帯をゆく

2019/07/01

genre : ライフ, , 国際

 メソポタミア文明が誕生した巨大湿地帯に、豪傑たちが逃げ込んで暮らした“梁山泊”があった! 辺境作家・高野秀行氏は、ティグリス川とユーフラテス川の合流地点にあるこの湿地帯(アフワール)を次なる旅の目的地と定め、混沌としたイラクの地へと向かった。

 現在、「オール讀物」で連載中の「イラク水滸伝」では書き切れなかった「もう一つの物語」を写真と動画を交えて伝えていきたい。

◆ ◆ ◆

 バグダードを離れ、私たちは南部の湿地帯へ向かった。

 まず訪れたのは、イランとの国境地帯にある東部湿地帯。かつてはイラン・イラク戦争の激戦地だったが、現在は水鳥の楽園となっていた。そして、その裏では非合法活動も盛んらしい……。

ティグリス川支流のカハラー川を下る

 国境付近の町アマーラからタクシーで東部湿地帯を目指す。近くに油田があり、盛大に炎を吹き上げている。この油田の火は昼も夜も湿地帯から見え、方向感覚を失いやすい湿地帯における最大の目印となっている。

炎が目印になっている

 警察のチェックポイントでパスポートを預け、地元の村人の舟でティグリス川支流のカハラー川を下っていく。建前は写真撮影禁止だが、地元の人曰く「気にすることはない」。

カハラー川を下る