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川上弘美・山田詠美・綿矢りさが明かす「田辺聖子という生き方」

ちょっと意地悪で、辛辣で、面白いお姉さんだった――

「えらいことばかり言う男の作家は駄目やね」

山田 私が芥川賞の選考委員になった後、芥川賞・直木賞の贈呈式で田辺さんの隣に座って、選考委員席で、コソコソッとお喋りすることがあったんです。あるとき、ある直木賞受賞者を評して、「ああやってえらいことばかり言う男の作家は駄目やね」って、田辺さんが私の耳元でおっしゃったの。そして、私の手を握って、「(直木賞の他の選考委員は)みんなそれがわからないのよ、小説読みのくせに」って(笑)。そういうときの田辺さんって、ちょっと意地悪で、辛辣で、面白いお姉さんみたいな感じなの。

第120回直木賞選考会 ©杉山秀樹/文藝春秋

川上 小説も実はすごく辛辣ですものね。辛辣と言っても、人を傷つけたり、貶める悪口ではなくて、いわば「きちんとした批評的悪口」。

綿矢 田辺先生は、地声はとても高いんですけど、小説やエッセイの話になると、ちょっとだけ声が低くなるんです。その硬質な声が魅力的で、私が「エッセイってどうやってお書きになるんですか」と聞いたら、「私の頭の中でスヌーピーに話しさせて、それを聞いてエッセイにしてるのよ」って、とっても低い声で秘訣を教えてくださいました(笑)。

綿矢りささん ©文藝春秋

山田 私がカモカのおっちゃんののろけ話を聞いていた時は、すごく甘い声だった(笑)。

文藝春秋8月号

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 3人の座談会の全文は、「文藝春秋」8月号「追悼 田辺聖子『珠玉のことば』」に掲載されている。田辺さんを偲びつつ、作品のページをもう一度めくってみてはどうだろうか。

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