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「胸元のファンタジスタ」雅子さま ご成婚前の「スカーフ」報道と国民との“距離感”を思い出す

2019/07/16

「皇后雅子さま 胸元のファンタジスタ」。そんな見出しのグラビアが掲載されたのは、「女性セブン」2019年7月11日号だった。ストールと、ネックレス。雅子さまのファッションに注目し、コーディネートの方法を解説する。そんな内容だった。

6月19日、展覧会「慶びの花々」の鑑賞のため、三の丸尚蔵館に向かわれる雅子さま ©時事通信社

小和田雅子さんの「スカーフ」が注目の的に

 雅子さまが小和田雅子さんだった頃を思い出した。注目の的だったのが、雅子さんのスカーフだった。「雅子さんに学ぶ」アレンジやら巻き方やらが、あちこちで特集された。

 それから26年。雅子さまは皇后になられた。そして再び、ファッションが注目された。懐かしい気持ちになった。同時に、こんな感慨もわいてきた。

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 雅子さまも国民も、長いトンネルを抜けたなー。

 雅子さんと雅子さまとスカーフとストール。そういう話を書いてみる。

 雅子さんが皇太子妃に内定したとワシントンポストがスクープしたのは、1993年1月6日。その2日後、雅子さんは初めて外出した。オフホワイトのロングコートを着ていた。メディアの代表者が「国民のみながおめでとうと言っております」とマイクを向けると、「そうですね、でもまだ正式には決まっておりませんので」と答えた。華やいだ表情で、すごくきれいだった。

1993年1月8日、自宅前で大勢の報道陣に笑顔をみせる小和田雅子さん ©共同通信社

 このコートはイタリアのHERNO(ヘルノ)というブランドのものだとすぐに報じられ、以来外出のたび、雅子さんは写真に撮られた。小和田邸はコンクリート打ちっ放しの一軒家。だから背景にはコンクリートの壁が写り、そのモダンさと雅子さんの「外務省勤務のキャリアウーマン」という経歴がマッチし、「絵になる外出」だった。