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夏こそお腹を温めよう

 実は漢方の世界では、熱中症が古くから認識されていた。

 慶應義塾大学環境情報学部教授で、慶應病院漢方医学センターの渡辺賢治医師がこう語る。

「漢方では、注夏病という言い方がありますが、これがまさに熱中症に当たります。

 漢方薬としては、夏バテ時に飲む清暑益気湯(せいしょえっきとう)という薬があります。そのほか四君子湯(しくんしとう)や人参湯(にんじんとう)などを処方することもあります。

 生活上の対策としては、胃腸を温めていたわることが重要です。

 暑くなると、なにかと冷たい飲み物、冷たい食べ物が欲しくなりますが、やはり温かいほうが身体にはいい。果物やアイスクリームなどを食べるとしても、あくまで暑い昼間にしてください。夜は、冷たい飲み物は控えるように。胃腸に不安がある方は、飲み物は常温にすること。胃腸が冷えて動かなくなることが夏バテの原因です。

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 夏こそ温かい食べ物というのが漢方の考え方です。例えば、参鶏湯(さむげたん)は夏の食べ物。カレーもそうです。血流を増やし発汗することで体の熱を下げます」

「朝食をきちんとる」整腸活動が熱中症を予防する

 熱中症予防のために、腸内環境を整えることが大切だという考え方は、西洋医学でも同じだ。

 順天堂大学医学部附属順天堂医院総合診療科の小林弘幸教授が語る。

「腸内環境が悪い人は、この時期は腸内で火事が起きているようなものです。吸収が悪くなり、また腸液の分泌も悪くなって、腸がむくんできます。するとまた吸収機能が低下するという、負のスパイラルに入ってしまう。腸内環境を整え、さらに粘膜を綺麗に整える。その上できちんとした食事で腸管を動かしておけば、水分や塩分、ミネラル、栄養素などの吸収効率も自然とよくなります」

 腸内環境改善に有効な食材は、食物繊維と乳酸菌などが含まれる発酵食品だ。

「食事に漬物類を加えるのもいいと思います。発酵食品は塩分があり、食物繊維も豊富。普段塩分を気にされている方も、夏場はあえて摂取したほうがいい。浅漬けよりは、ぬか漬けや野沢菜、キムチなどがいいと思います。また甘酒もおすすめです。米麹から作られた発酵飲料でミネラルも豊富です。昔から、飲む点滴などといわれています」(同前)

 朝食をきちんと摂ることも整腸活動だ。

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 小林教授が続ける。

「朝起きた時に一番動かないのが消化管。朝起きたら、まずコップ1杯の水を飲んでください。寝ている間に汗をかいていて、朝が一番脱水状態になっています。

 そのあとにきちんとした朝食を食べることが重要です。簡単なヨーグルトやバナナでもいいですが、パンでもご飯でもかまいません。もっとボリュームのある朝食を摂ったほうがベターです。これだけでも、熱中症の予防効果は大きいと思います」