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「ATM婚」と蔑まれて「お小遣い2万円倶楽部」入りする残念な男性の結婚事情

貧乏人なら結婚もできない昨今に

2019/07/18

 婚活で悩む人、夫婦生活で困る人、さまざまいるのが社会であり人生だと思うんですよね。

 都市部を中心に「専業主婦になりたい女性」が結婚を機に寿退社するという事案が減ったよねえという話を企業研修の場でよくするんですが、男女同権社会と言われてもそもそもの男性と女性との性別による機能差はあるので「目の前にある問題をどういう優先順位で解決しようとするのか」はとても大事なことです。

老害の言い草が通用しない時代

 何より、企業の人事からすると少子高齢化になり働き手不足で売り手市場になってしまったのが大きい。昔のようにうっかり「マイホームを建てた30代男性は銀行で住宅ローン組んでるだろうから、会社を辞めないだろう」と見込んで地方都市に転勤を命じるとあっさり同業種に転職していってしまったり、結婚したから身が固まって良かったねと思ったら男性でも育休を取る流れになって堂々と育休申請されて企業の側も困ったりという愚痴はよく出ます。

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 でも、それはいままでみんな働く側が我慢していたからであって、会社のある種の見込み通り社員が動かなくなったからといって「最近の若い者は」と言われても、「それはお前が老害なだけだろ」と申し上げざるを得ないケースがまた多くなっております。

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 実際、大手企業で社員たちの結婚や出産をどう扱うかというのはセクハラ・パワハラに次いで管理職の面々の困惑を呼び起こす事象になっておりまして、昔は上司は上司ヅラして結婚式に出てスピーチをやり、子どもが生まれたら何万円か出産祝いを送りつけ数日の休暇申請にハンコを捺すだけで良かった時代でありました。ところが、残業はやめろ、生産性は上げろという社会の要請が強くなると、いままでのような組織対応ではダメになってしまいました。

高収入なのにお小遣い2万円のATM婚

 結婚する側も大変で、夫婦生活をこれから送るための品定め期間としての恋愛、みたいな構造がより顕著になり、収入はどうか、価値観は合うか、優しくて暴力を振るわないかといったチェックポイントをこなせる人しか「恋愛の対象にならない」うえに稼いでいれば稼いでいるで奥さんに家庭内のおさいふ決裁権を取られ、ATM婚の果てにお小遣い2万円倶楽部に陥っている高収入野郎が後を絶たないのも実態としてあります。

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 高収入なのにお小遣い2万円というのはもちろん対外的に「ウチは奥さんを愛してますよ」というポーズなのであって、実際にはパパ活に精を出したり趣味に没頭したりする人はたくさんおられるわけですけれども、中には本当に猛妻を娶ってしまい、日常的に行動が監視下に置かれ文字通りお小遣い月2万円で細々と生きることを余儀なくされている戦友もいます。大変なことだと思うよ。

 別に結婚相手の財布だけをアテにして結婚したわけではないけれど、結婚してみたら甲斐性がなくて「こんなはずはなかった」とパートに出ざるを得なくなるママ友の愚痴を聞くと「結婚前にしっかりと話をしておけば」と思います。ただ、家計が厳しいから奥さんが亭主の小遣いを厳しく制限して、亭主がやりたいこともできなくてしょぼくれているのを見ると、逆にお前も「結婚前にしっかり話をしておけば」と思うわけですね。