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「トランプ大統領は金正恩に利用された」"北朝鮮亡命外交官”は米朝首脳会談をどう見たか?

38度線越えは「核保有」を黙認することに他ならない

2019/07/18

 6月30日、アメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、板門店にある南北の軍事境界線で会った。トランプ大統領は金委員長と一緒に軍事境界線を越え、10メートル余り北朝鮮の領土に歩いて入った。韓国の文在寅大統領もその場に立ち会い、歴史的な瞬間を見守っていた。

 1953年の朝鮮戦争の停戦協定締結以来、66年間にわたり分断の象徴だった板門店でアメリカ・韓国・北朝鮮という3首脳が会ったことには、それなりに意味があると言えるだろう。

板門店南側地域の「自由の家」で会談する金正恩委員長とトランプ大統領。 ©時事通信社

北朝鮮非核化へ懐疑論を唱える脱北外交官

 だが一方で、通算3回目となった今回の板門店での米朝首脳会談の成果は「2~3週間内に実務チームを構成して交渉を進める」というもので、内容はほとんど無かったと言っていい。それどころか、会談後にアメリカ・ワシントンでは、今後の先行きについて懸念する声が出始めている。

〈アメリカ政府の対応は、北朝鮮を「核保有国」として黙認しているに等しいではないか〉

〈アメリカ政府が当初の目標にしていた北朝鮮の完全な非核化(FFVD)に及ばない中間段階で、暫定合意をしてしまうのではないか〉

 韓国内でも、同様に北朝鮮の非核化への懐疑論が出ている。その代表格が、約3年前に北朝鮮から韓国に亡命した、歴代最高位の脱北外交官・太永浩氏(56、元駐英北朝鮮大使館公使)だ。

太永浩氏

 太氏は6月13日、北朝鮮指導部の暗部を暴いた著書『三階書記室の暗号 北朝鮮外交秘録』(文藝春秋刊)を日本で出版し、19日に初来日を果たした。太氏は“6.30板門店会談”の後、韓国のケーブルテレビ「チャンネルA」に出演し、次のように語っている。