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30年で2倍以上!? 増え続けるアトピー性皮膚炎を「治したければフライパンを使うな」

1000人以上を診た医師の結論

2019/08/31

source : 週刊文春 2011年12月22日号

genre : ライフ, 医療

厚生労働省が発表した「平成29年度 患者調査」によると、全国におけるアトピー性皮膚炎患者数は51万3000人にも上り、その数は年々増え続けている。

そんな中、アトピー性皮膚炎の悪化が心配される季節は「夏」と「冬」。汗が皮膚を刺激し、発症の原因ともなる細菌の繁殖を促してしまう。一方で過度な乾燥も症状を悪化させてしまうことがある。

患者の36%が0~19歳、44%が20~44歳を占めているデータからも年代に関係なく、誰にでも発症しうるアトピー性皮膚炎への対策を患者であった筆者自らが取材した。

※「週刊文春」2011年12月22日号より転載。記事中の年齢や日付、肩書き等は掲載時のものです。

 日本でアトピー性皮膚炎(以下、アトピー)の患者がどれくらいいるかというと、実ははっきりとわかっていない。ただ『アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2008』に掲載された有症率を総務省統計局の年齢別人口にあてはめてみると、およそ700万人にもなる。このうち重症の患者は推定24万人である。

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 アトピーになって皮膚科に行くとほぼステロイド外用薬を処方されるが、これはステロイドを標準治療と定めているからだ。ステロイドが登場したのは半世紀も前だが、当時は一瞬にしてかゆみが止まるために魔法の薬といわれた。それなのに70年代以降は患者が増える一方である。かつて「成人するまでには治る」といわれたが、いまや子供より大人のほうが患者数が多い。

煮物、焼き物中心の生活で「1口100回噛むこと」

 ところで私はここ数年、ステロイドを使わないで、重症のアトピーが治癒する例を何度も見てきた。その1人が06年当時、中学2年生だった沖縄の知念辰則君である。「全身が真っ白でサメ肌のようにカサカサになり、掻き破ったところから黄色い汁がじくじくと滲み出ていた」という。なにしろ海水に浸かると悲鳴をあげたほどだった。

 そこで彼は食事療法をすすめられた。基本は《油》《砂糖》《添加物》を摂らないことだった。油はシソ油だけを、甘味は砂糖をやめて酵素でとった。むろん缶ジュース類はタブーだ。結果的に筑前煮のような煮物や焼き物、蒸し物、麺類が中心になる。そのうえ一口100回噛んだという。

「最初はかゆみがひどくなったのですが、2カ月ほどして眠れるようになり、半年後にはかゆみもなくなりました」と辰則君。皮膚が元に戻るにはさらに1年かかったが、中学を卒業する頃には熟睡できたという。

 なぜ彼の症状はよくなったのか。95年に日本で初めて食事と抗酸化ビタミンでアトピーを治療できることを発表した鹿児島の堂園メディカルハウスの堂園晴彦院長によればこうだ。

リノール酸と砂糖がかゆみの原因に

「日本人は1960年と比較すると油脂類の消費が3.4倍、畜産物が4.3倍にもなっています。実は油には大別して大豆油などのn-6系とシソ油などのn-3系があって、私たちはn-6系を摂りすぎています。n-6系にはリノール酸がたくさん含まれていて、体内に入るとアラキドン酸になり、これがかゆみを引き起こすロイコトリエンになってアレルギーの原因になるといわれています」

 n-6系に対して、n-3系はアレルギーを抑制するといわれる。アトピーの原因はわからないが、食事の洋風化によって、n-6系とn-3系のバランスが崩れたためにアトピー体質になったと考えられるのである。

 また、砂糖は腸管にいるカビの一種であるカンジダの餌になるとされ、摂りすぎるとカンジダが増えて腸内環境を悪化させる。このために腸管粘膜からアミノ酸だけでなく、ポリペプチドのような大きな分子まで吸収され、これがかゆみの原因になるといわれている。

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 では、アトピーの症状をよくする食事はあるのだろうか。堂園氏はいう。