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母の認知症発症から8年――阿川佐和子65歳が語る“笑う”介護生活

明るく可愛くボケてゆく母

2019/08/01

 作家・エッセイストの阿川佐和子さん(65)の母・みよさんは今年91歳。認知症の症状が出始めたのは今から8年前のことだった。それ以降、阿川さんは仕事と介護を両立しながら、親の老いに向き合ってきた。昨年、上梓した小説『ことことこーこ』は、認知症になった母親と娘を描いた物語だが、阿川さんの体験が大いに反映されているという。

 今や65歳以上の高齢者の7人に1人が認知症になると言われる時代。私たちは、認知症とどう付き合っていくべきなのか――。阿川さんが実体験を通じて学んだことを語った。

阿川佐和子さん ©石川啓次/文藝春秋

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「これは普通の物忘れじゃないぞ」

 私がそう感づいたのは、2011年の秋。当時、母は83歳でした。狭心症の発作で母が入院し、血管にステントを2本入れる手術をしたあとのことです。

 病室でふと、半年前に起きた東日本大震災の話になったら、母はきょとんとした顔で、「エッ、そんな地震あったの?」と言ったんです。

阿川さんが自身の介護体験をもとに執筆した小説『ことことこーこ

 以前から兆候は感じていました。銀行に行って下ろしてきたお金をどこにしまったかわからなくなって、しばらくして下着の間から出てきた、なんてこともありました。

 この頃、長年来てくださっている家政婦さんから「こんなこと言うのはナンですけど、奥さまはちょっと物忘れが尋常じゃありません」と電話をもらって、ずいぶんショックを受けたことも覚えています。