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昼寝は20分以内。午後3時以降は注意

【昼寝の直前にコーヒーを】

 夜眠れないと昼寝をしてしまいがちだが、これにも注意が必要だ。

 東京疲労・睡眠クリニックの梶本修身医師が語る。

コーヒーのカフェインの覚醒効果を逆利用
コーヒーのカフェインの覚醒効果を逆利用

昼寝の時間は20分以内に抑えるべきです。それ以上取ると、夜に眠れなくなってしまう。また、午後3時以降の昼寝も、夜の睡眠に影響を及ぼすので注意すべきです。オススメは昼寝の直前にコーヒーを飲むこと。カフェインは脳を覚醒させますが、効果を発揮するまでに20~30分ほどかかる。だから、丁度起きたいくらいの時間にカフェインで目が覚めるんです」

【夕方の運動で体温UP】

 体温調節も夜の睡眠を左右する重要な条件の一つだ。

 体の内部や脳の温度を示す「深部体温」の変動が、睡眠に関係していることが分かっている。

 前出の菅原氏が語る。

「深部体温が高温から低温に下がった時に、人間は眠くなることが分かっています。この下降の勾配が急であればあるほど眠くなる。ところが、高齢者は筋肉量が少ないので、熱をうまく産生できず、最高体温と最低体温との間に差を付けることが難しい」

 では、どうすれば良いのだろうか。

「最高体温を高める工夫をすることが必要です。深部体温が最も高くなる夕方に運動をして、より体温を上げるのが良いでしょう。そうして、あえて温度の勾配を作るんです。

 女性の場合、男性よりも筋肉量が少ないのでより運動が必要です。特別なことをする必要はなくて、夕方に買い物に行ったり、犬の散歩に出かけるなどの活動で十分です。

犬の散歩は夕方の運動にオススメ
犬の散歩は夕方の運動にオススメ

 また、若い女性の場合は、月経前の黄体期には深部体温が高くなるので、深く眠れなくなります。出血が始まる卵胞期の最初の1週間に睡眠の質を上げるようにすると、全体の調子が改善します」(同前)

【入浴後1時間は眠らない】

 入浴も深部体温の勾配を作る上で効果的だ。

「お風呂に入ると、深部体温が上がります。ただ、昔から『温かくして寝なさい』と言いますが、お風呂から出てすぐにベッドに入ると、汗をかいて、かえって寝付けなくなってしまう。お風呂から出て最低でも1時間は空けて、頭や足の先から放熱して温度が下がり、眠くなってきたところでベッドに行くべきです」(同前)

湯上りに寝付けないのはなぜ?
湯上りに寝付けないのはなぜ?

【熟睡のための食べ物、飲み物】

 食事についてはどうか。睡眠に効果的な食材はあるのだろうか。

 前出の梶本医師が薦めるのは「鶏の胸肉」だ。

「日中に蓄積した疲労を軽減することで、夜に良質な睡眠を取ることができます。そのためには、鶏の胸肉に含まれるイミダペプチドという成分が効果的です。イミダペプチドは抗酸化作用があり、疲労の原因となる細胞の酸化を防ぐことができる。胸肉100グラムを2週間毎日摂り続けることで、疲労回復効果が現れます。煮ても焼いても、イミダペプチドの抗酸化効果は変わらないので調理法も自由です」

鶏胸肉を100g!煮ても焼いてもOK
鶏胸肉を100g!煮ても焼いてもOK

 一方で、飲酒は睡眠に悪い影響があることが分かっている。02年に世界10カ国を対象に行われた調査では、「眠れない時の対策法」について、他国が「医師に相談」と回答する中、日本は「寝酒」という回答が最も多かったという。

一方、多くの日本人が行っている寝酒は……?
一方、多くの日本人が行っている寝酒は……?

「アルコールには入眠を促す効果はありますが、睡眠が浅くなり、目が覚めやすくなる。また、睡眠中はレム睡眠(浅い眠りで脳は活動している)とノンレム睡眠(深い眠りで脳も体も休んでいる)があり、90分周期でサイクルが繰り返されますが、アルコールはノンレム睡眠の時間を減らすので、睡眠の質を悪くします」(同前)

寝る前の足上げエクササイズ

 ようやく眠りについても、そこで終わりではない。「夜中に起きないための対策をする」ことも重要だ。

 高齢者は前立腺肥大や過活動膀胱などによって、夜中にトイレに行く回数が増える。頻尿は睡眠を妨げる大きな問題だ。

「対処法の一つは、夜寝る前に10~15分間、仰向けの状態で足を腰よりも高い位置に上げておくことです。それで日中に重力の影響で足元に溜まっていた水分を、体の中央に集め、その後にトイレに行くことで、寝る前にまとまった量を排泄することができます」(前出・菅原氏)

 家族などから「寝相が良い」と言われる場合も要注意だ。

「寝返りには布団の中の空気を換気する働きがあります。これが上手くいかないと、寝汗をかいて中途覚醒する原因になる。寝返りというのは、真横に転がるのではなく、位置は動かずに、その場で身体を持ち上げて向きを変えているんです。筋力が要るので、高齢者は意外と苦労する」(同前)

 そこで、寝返りに必要な筋力をつける運動があるという。

ヒップリフトと言って、仰向けの状態で膝を90度に立てるようにして曲げ、お尻にギュッと力を入れて、身体を持ち上げる。この動きに使う筋肉が、寝返りの時と同じなんです。これを1日5回ほどやると、次第にきれいに寝返りが打てるようになります」(同前)