昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2000人が死亡!? 熱中症 40℃の炎熱地獄からあなたを守る「救命マニュアル35」

水分補給に最適な飲み物、エアコンの稼働時間、服装は……

source : 週刊文春 2013年7月25日号

genre : ライフ, 医療, ヘルス, 社会

「熱中症は再発しやすい」さらにハイリスクな人は?

(2)心臓病や高血圧、肥満の人はさらにリスクが高い。

「心臓病や高血圧の人に処方される薬には、体内の水分量を減らすような成分が入っているものが多い。つまり、最初から脱水症状に近い状態なのです。

 肥満の場合、ネックとなるのはやはり脂肪層。体重が重い分、熱産生量が多い。そもそも体が熱いのです。その上、脂肪層が熱を放散しにくくしています」(至学館大健康科学部・朝山正己教授)

©iStock.com

 頻繁に発症してしまう、(3)熱中症リピーターも多い。

「一度熱中症になった人は、熱ストレスに対して体の防衛反応が過剰に働くようになる。以前より汗をかきにくくなるのです」(星氏)

重篤状態で体温は43度近くに

 迅速で的確な処置が生死を分けると言っても過言ではない。

「熱中症の人がいたら、第一に意識の有無を確認して下さい。(4)意識がない、意識はあるが自力で水が飲めない、などの症状が出ていたら、迷わずすぐに救急車を呼んで下さい」

 そう警鐘を鳴らすのは、『熱中症対策マニュアル』の監修を務めた稲葉裕順天堂大名誉教授。

 熱中症は軽症(Ⅰ度)、中等症(Ⅱ度)、重症(Ⅲ度)と症状が進行していく。

 

「軽症は、まだ体温が上がり始めた状態を指し、めまいやこむらがえり、大量の汗が出るなどの症状が現れます。とにかく涼しい場所に移動して水分を補給して下さい」(同前)

 症状の悪化を食い止めるためには(5)一刻も早く体を冷やすことが重要だ。昭和大医学部救急医学講座の三宅康史教授が解説する。

「濡らしたタオルや保冷剤などを太い静脈のある首筋やわきの下、足の付け根にあてると効率よく身体が冷えます。患者を横にするときは、嘔吐した場合を考えて(6)横向きに寝かせた方がいい

 また、(7)汗はこまめに拭くように。実はしたたるような汗は熱放散の意味がなく、肌を触ってちょっとじめじめしている程度がまさに“ラジエーター機能”が働く状態だという。

 一方の(8)水分補給は『塩分も一緒に』が鉄則。スポーツドリンクか、経口補水液が最適(詳しくは後述)。

「中等症になると、体温は40度ほどまで上がり、Ⅰ度の症状が強度を増して現れ、嘔吐することもある。

 もっと進行すると重篤状態になり、体温は43度近くにもなる。こうなると昏睡状態に陥り、呼吸が停止するなどの危険な状態になります」(東京医科大・勝村俊仁主任教授)

 命を取りとめても、対応が遅ければ後遺症を抱えてしまう場合もある。

「体温が上がると、熱そのもので肝臓、腎臓、脳などの臓器がやられる。特に熱に弱い脳がダメージを受け、(9)認知症や嚥下障害などの後遺症を引き起こすこともあります」(三宅氏)